ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:yomeiuji:uji143

差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

両方とも前のリビジョン前のリビジョン
text:yomeiuji:uji143 [2019/09/29 19:23] Satoshi Nakagawatext:yomeiuji:uji143 [2021/02/16 22:58] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
行 10: 行 10:
 昔、多武峯に増賀上人((底本「僧賀上人」。以下全て同じ。))とて、貴き聖おはしけり。きはめて心武(たけ)う、きびしくおはしけり。ひとへに名利を厭(いと)ひて、すこぶる物狂はしくなん、わざと振舞ひ給ひけり。 昔、多武峯に増賀上人((底本「僧賀上人」。以下全て同じ。))とて、貴き聖おはしけり。きはめて心武(たけ)う、きびしくおはしけり。ひとへに名利を厭(いと)ひて、すこぶる物狂はしくなん、わざと振舞ひ給ひけり。
  
-三条大后(おほきさい)の宮((円融天皇中宮藤原詮子。[[:text:k_konjaku:k_konjaku19-18|『今昔物語集』19-18]]では藤原遵子。))、尼にならせ給はんとて、戒師のために召しにつかはされければ、「もつとも貴きことなり。増賀こそは、まことになし奉らめ」とて参りけり。弟子ども、「この御使を嗔(いか)りて打ち給ひなんどやせんずらん」と思ふに、思ひのほかに心安く参り給へば、ありがたきことに思ひあへり。+三条大后(おほきさい)の宮((円融天皇女御藤原詮子。[[:text:k_konjaku:k_konjaku19-18|『今昔物語集』19-18]]では藤原遵子。))、尼にならせ給はんとて、戒師のために召しにつかはされければ、「もつとも貴きことなり。増賀こそは、まことになし奉らめ」とて参りけり。弟子ども、「この御使を嗔(いか)りて打ち給ひなんどやせんずらん」と思ふに、思ひのほかに心安く参り給へば、ありがたきことに思ひあへり。
  
 かくて、宮に参りたるよし申しければ、悦びて召し入れて、尼になり給ふに、上達部・僧ども、多く参り集まり、内裏より御使など参りたるに、この上人は、目は恐しげなるが、体も貴げながら、わづらはしげになんおはしける。 かくて、宮に参りたるよし申しければ、悦びて召し入れて、尼になり給ふに、上達部・僧ども、多く参り集まり、内裏より御使など参りたるに、この上人は、目は恐しげなるが、体も貴げながら、わづらはしげになんおはしける。
text/yomeiuji/uji143.txt · 最終更新: 2021/02/16 22:58 by Satoshi Nakagawa