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text:yomeiuji:uji140 [2014/10/11 01:47]
Satoshi Nakagawa
text:yomeiuji:uji140 [2017/09/09 22:51] (現在)
Satoshi Nakagawa [第140話(巻12・第4話)内記上人、法師陰陽師の紙冠を破る事]
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 ここに法師陰陽師、紙冠をきて祓するをみつけて、あはてて馬よりおりて走よりて、「なにわざし給、御房ぞ」ととへば、「祓し候也」といふ。「なにしに紙冠をば、したるぞ」ととへば、「祓戸の神達は法師をば忌給へば、祓する程、しばらくして侍也」といふに、上人声をあげて大に泣て、陰陽師に取懸れば、陰陽師、心えず仰天して、祓をしさして、「是はいかに」と云。祓せさする人も、あきれて居たり。 ここに法師陰陽師、紙冠をきて祓するをみつけて、あはてて馬よりおりて走よりて、「なにわざし給、御房ぞ」ととへば、「祓し候也」といふ。「なにしに紙冠をば、したるぞ」ととへば、「祓戸の神達は法師をば忌給へば、祓する程、しばらくして侍也」といふに、上人声をあげて大に泣て、陰陽師に取懸れば、陰陽師、心えず仰天して、祓をしさして、「是はいかに」と云。祓せさする人も、あきれて居たり。
  
-上人、冠を取て、引破て、泣事限なし。「いかにしりて御房は仏弟子と成て、『祓戸の神達にくみ給』といひて、如来の忌給事を破て、しばしも無間地獄の業をばつくり給ぞ。誠にかなしき事也。ただ寂心を殺せ」といひて、取付て泣事おびただし。陰陽師のいはく、「仰らるる事、尤道理也。世の過がたければ、さりとてはとて、かくのごとく仕也。しからずば、何わざをしてかは、妻子はやしなひ、我命をも、続はべ侍らん。道心なければ、上人にもならず。法師のかたちに侍れど、俗人のごとくなれば、後世の事いかがと、かなしく侍れど、世のならひにて侍れば、かやうに侍なり」といふ。上人の云やう「それはさもあれ、いかが三世如来の御首に冠をば着給。不幸にたへずして、か様の事し給はば、堂作らん料に、勧進しあつめたる物共を汝に与ん。一人菩提勧れば、堂寺造に勝れたる功徳也」といひて、弟子共をつかはして、材木とらんとて、勧進しあつめたる物を、みなはこびよせて、此陰陽師にとらせつ。+上人、冠を取て、引破て、泣事限なし。「いかにしりて御房は仏弟子と成て、『祓戸の神達にくみ給』といひて、如来の忌給事を破て、しばしも無間地獄の業をばつくり給ぞ。誠にかなしき事也。ただ寂心を殺せ」といひて、取付て泣事おびただし。陰陽師のいはく、「仰らるる事、尤道理也。世の過がたければ、さりとてはとて、かくのごとく仕也。しからずば、何わざをしてかは、妻子はやしなひ、我命をも、続侍らん。道心なければ、上人にもならず。法師のかたちに侍れど、俗人のごとくなれば、後世の事いかがと、かなしく侍れど、世のならひにて侍れば、かやうに侍なり」といふ。上人の云やう「それはさもあれ、いかが三世如来の御首に冠をば着給。不幸にたへずして、か様の事し給はば、堂作らん料に、勧進しあつめたる物共を汝に与ん。一人菩提勧れば、堂寺造に勝れたる功徳也」といひて、弟子共をつかはして、材木とらんとて、勧進しあつめたる物を、みなはこびよせて、此陰陽師にとらせつ。
  
 さて、我身は京に上給にけり。 さて、我身は京に上給にけり。


text/yomeiuji/uji140.txt · 最終更新: 2017/09/09 22:51 by Satoshi Nakagawa