text:yomeiuji:uji126
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text:yomeiuji:uji126 [2019/04/29 15:44] – Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji126 [2019/04/29 15:51] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | 昔、晴明が土御門の家に、老いしらみたる老僧来たりぬ。十歳ばかりなる童部二人具したり。晴明、「何ぞの人にておはするぞ」と問へば、「播磨国の者にて候ふ。陰陽師を習はん心ざしにて候ふ。この道に、ことにすぐれておはしますよしを承りて、少々習ひ参らせんとて参るなり」と言へば、晴明が思ふやう、「この法師は、かしこき者にこそあるめれ。われを心みんとて来たる者なり。それに悪(わろ)く見えては、悪かるべし。この法師、少し引きまさぐらん」と思ひて、「供なる童は、式神を使ひて来たるなめり。もし式神ならば、召し隠せ」と、心の中に念じて、袖の内にて印を結びて、ひそかに呪を唱ふ。 | + | 昔、晴明が土御門の家に、老いしらみたる老僧来たりぬ。十歳ばかりなる童部二人具したり。晴明((安倍晴明))、「何ぞの人にておはするぞ」と問へば、「播磨国の者にて候ふ。陰陽師を習はん心ざしにて候ふ。この道に、ことにすぐれておはしますよしを承りて、少々習ひ参らせんとて参るなり」と言へば、晴明が思ふやう、「この法師は、かしこき者にこそあるめれ。われを心みんとて来たる者なり。それに悪(わろ)く見えては、悪かるべし。この法師、少し引きまさぐらん」と思ひて、「供なる童は、式神を使ひて来たるなめり。もし式神ならば、召し隠せ」と、心の中に念じて、袖の内にて印を結びて、ひそかに呪を唱ふ。 |
さて、法師に言ふやう、「とく帰り給ひね。後に良き日して、習はんとのたまはんことどもは教へ奉らん」と言へば、法師、「あらたふと」と言ひて、手をすりて額に当てて立ち走りぬ。 | さて、法師に言ふやう、「とく帰り給ひね。後に良き日して、習はんとのたまはんことどもは教へ奉らん」と言へば、法師、「あらたふと」と言ひて、手をすりて額に当てて立ち走りぬ。 |
text/yomeiuji/uji126.txt · 最終更新: 2019/04/29 15:51 by Satoshi Nakagawa