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text:yomeiuji:uji125 [2017/09/06 01:17]
Satoshi Nakagawa [第125話(巻11・第2話)保輔、盗人たる事]
text:yomeiuji:uji125 [2019/04/29 15:27] (現在)
Satoshi Nakagawa
ライン 6: ライン 6:
 **保輔、盗人たる事** **保輔、盗人たる事**
  
-今は昔、摂津守保昌の弟に、兵衛尉にて冠たまはりて、保輔といふもの有けり。盗人の長にてぞありける。家は姉小路の南、高倉の東に居たりけり。+===== 校訂本文 =====
  
-蔵を作て下をふかう井のやう、太刀、鞍、鎧、かぶと、絹、布など、万のうる物をよび入て、いふまま、「たいをとらせよ」といひて、「おくの蔵のかたへぐしてゆ」といひければ、「あたい給はん」とて行きたを、蔵の内へよび入つつ、掘たる穴へつきいれつきいれして、もてきたる物をば取けり+今は昔、摂津守保昌((藤原保昌))に、兵衛尉にて冠(り)賜はりて、保輔((藤原保輔))といふ者ありけり。盗人の長(をさ)にてける。
  
-この保輔がり物もて入たるものの、帰ゆくなし物う思へうづみころしれば、此事云もなかりけり。+家は姉小路高倉の東に居たりけり奥に蔵て、下を深う井のやうに掘りて、太刀・鞍・鎧・兜・絹・布など、づの売る者を呼び入れて、言ふままに買ひて、「値(あたい)を取らせよ」と言ひて、「奥の蔵の方へ具て行け」と言ひければ、「値給はん」とて行きたる、蔵内へ呼び入れつつ、掘りたる穴へ突き入れ突き入れして、持て来たる物をば取りけり。
  
-これならず、京中しありきて、ぬすみをしてぎけり。この、おろおろこえたりけれども、いかなりけるにか、とらへからめらるる事もなくて過にける+この保輔がり物持て入りたる者の、帰り行くなし。このことを、物売り怪しう思へども、埋(うづ)み殺しぬれば、このことを言ふ者なかりけり。 
 + 
 +これならず、京中歩(あり)きて、みをしてぎけり。このこと、おろおろこえたりけれども、いかなりけるにか、捕へからめらるることもなくてぞ過ぎにける。 
 + 
 +===== 翻刻 ===== 
 + 
 +  今は昔摂津守保昌の弟に兵衛尉にて冠たまはりて保輔 
 +  といふもの有けり盗人の長にてそありける家は姉小路の南 
 +  高倉の東に居たりけり家の奥に蔵を作て下をふ 
 +  かう井のやうに堀て太刀鞍鎧かふと絹布なと万のうる 
 +  物をよひ入ていふままに買てあたいをとらせよといひておく 
 +  の蔵のかたへくしてゆけといひけれはあたい給はんとて行たるを 
 +  蔵の内へよひ入つつ掘たる穴へつきいれつきいれしてもてきたる物 
 +  をは取けりこの保輔かり物もて入たるものの帰ゆくなしこの 
 +  事を物うりあやしう思へともうつみころしぬれは此事を云もの/下37ウy328 
 + 
 +  なかりけりこれならす京中をしありきてぬすみをして 
 +  すきけりこの事おろおろきこえたりけれともいかなり 
 +  けるにかとらへからめらるる事もなくて過にける/下38オy329
  


text/yomeiuji/uji125.txt · 最終更新: 2019/04/29 15:27 by Satoshi Nakagawa