ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:yomeiuji:uji123

差分

この文書の現在のバージョンと選択したバージョンの差分を表示します。

この比較画面にリンクする

両方とも前のリビジョン 前のリビジョン
text:yomeiuji:uji123 [2017/08/31 22:30]
Satoshi Nakagawa [第123話(巻10・第10話)海賊発心出家の事]
text:yomeiuji:uji123 [2019/04/16 13:50] (現在)
Satoshi Nakagawa
ライン 6: ライン 6:
 **海賊発心出家の事** **海賊発心出家の事**
  
-今はむかし、摂津国にいみじく老たる入道の、おこなひうちしてありけるが、人の海賊にあひたりといふ物語するついでにいふやう、+===== 校訂本文 =====
  
-我は若かりしおりは、まことにたのしてありし身也。き食物にあきみちて明くれ海にうかびて、世をば過しな。「淡路の六郎ついふくし」となんいひし。+摂津国、いみじく老いる入道、行ひうちしてあり人のあひた」といふ物語するついでに言やう、
  
-に、安芸の島にて、こと船も、ことになかりし舟一艘ちかくぎよす。みれば、廿五六斗の男の、きよげなるぞ、うとおほてあさてはわか男二三ばかりにて、わづかみゆ。さ女どもの、よきなどあるべし。のづから簾のひまよりみれ、皮子などあまたみゆ。物はよくつみたるに、はかばかき人もくて、ただこの我舟につきてあ屋形うへに、若き僧一人ゐて、経よみてあり。だれば、おなじやうにくだり、島へよれば、おなじやうによる。まれば、またとまりどすれば、此舟をえ見もらぬなりけり+「わは若かりし折はとに楽しくてありし身なり着る物食ふ物に飽満ちて、明け暮れ海浮びて、をば過ぐししなり。「淡路六郎追捕使(ついぶし)」となんいひし。
  
-「あやし」と思て、ひてん」とおひて、「は、いかる人のかく舟にみぐしてはおはす人に」ととへば、「周防国よりいそぐ事りてさるべきたのもしき人もぐせねば、おそろしくて此御舟をたのみてかくつき申たるなり」といへば、「いとをこがまし」と思、「これは、京にまかるにもらずここに人待なり。待つけて、すはうのかたへくだらんずるは、いかでぐしとはるぞのぼらん舟にぐしてこそおはせめ」といへば、「さら、あこそはさもいかにもせめ。よひは猶舟にぐしてあん」とてしまかくれる所にぐしてとま+それに、安芸の島にて、異船(こふね)もことになかりしに、舟一艘、近漕ぎ寄す。見れば、二十五・六ばかり清げなるぞ、主(しう)とおぼくしてる。さては、若き男二・三ばかりにて、わ見ゆ。さて、女どものよきなどあべし。おのづら簾の隙(ひま)より見れば、皮子などあまた見ゆ。物はよく積みたはかばかしき人もくてだこわが舟につきて歩(り)く屋形の上若き僧一て、経読みてあ下れば同じやう下り、島寄れ同じやうに寄る。止まれまた止まりなどれば、この舟をえ見なりけり
  
-「人ども、ただいまこそよき時なめれ。いざ、この舟うつしてん」とて、この舟にみなのる、物もぼえず、あきれまどひたり。物のあるかぎり我舟にと入つ。人どもはみな男女海にとりるる主人手こそこそとすりて、水精のすずの緒らんやうる涙はらはらとしていはく、「よろづの物取給へただ我命かぎりはたすけ給。京に老た親の、かぎりにわづらひ『今一度みん』申たれば、よるをひるにて、つげにつかはしたれば、いそぎ罷のぼる也」ともいひやで、我目を見あはせ手をするさまいみじ。「れ、かくないはせそ。れいのごとくとく」といふに目を見合てなきまどふ、いといといみじむざうにおぼえかども、「いひいかがせん」となして海に入つ+「あや」と思ひて、「問ひてん」と思ひて、「こは、いかなる人の、かくこの舟にのみ具してはおはすぞ。いづくにおはす人に」と問へば「周防国より、急ぐこてまかが、さべき頼もしき人も具せねば恐しくて、この御舟頼みて、かく付申しり」と言へば、「いとをこがま」と思ひて、「これ、京にまかるにもあらず。ここに人待る待ちつけて周防下らんずで具してとはあぞ。京にのぼらん舟具してこそおはせ」と言へばらば明日こそは、さもかにもせめ今宵なほも舟してあらん」とて、島隠れる所に具して泊まりぬ
  
-屋形の上に廿斗にてひわづる僧の経袋くびにかけて、るひる経よみつるをとうち入つ。時に手まひして経袋をとりて、水のうへにびながら、ささげ此経をささて、うき出うき出する時に、「けうの法師の、いまで死」と舟のかいしをはうちせなかきいれなどすれど、き出うき出つつ此経をさぐ+人ども「ただ今こそ良き時めれ。いざこの舟移してん」とて、この舟にみな乗時に、ものもおぼえず、あきれ惑たり。物のあかぎり、わが舟取りつ。もはみな男・女、海に取り入るるに、主人、手こそこそりて、水数珠(ずず)の緒切れたらんやなる涙をはらはらとこぼしていはく、「よろづの物はみな取り給。ただ、わが命のかぎりは助け給へ。京老いたる親の、ぎりにわづひて『今一度見ん』と申したれば昼に、告げにつかはしたれば急ぎかり上る」ともえ言ひやらでわれに目を見合はせ、手するさまいみじ。「これ、かくな言せそ。例のごとく」と言ふに、目見合ひて、泣惑ふさま、といといみじ。あはに無慚(むざ)に思えかども言ひていかがせん」と思ひなして、海に入れつ
  
-「あやし」と思てよくみれば、僧のびた跡枕に、うつげなる童のびづらゆひたるが、しろきすはへ持たる二三人ばかりみゆ。僧に手をかけ一人は経をささげたるかひなをとらへたりとみゆ。かたへの者どもに「あれみよ、この僧につ童部はなぞ」といへば、「いづら、いづら。更に人」といふ。我目には、たしかにみゆ。此童そひて、あへて海にしづむ事なし。うびてあり。あやければ、「みん」と思、「これにとりつきてこ」とて棹さしやりればとりつたるを、引よせたば、人々、「などかくはるぞ。よしなきわざする」といへば、「さはれ、此僧ひとりはいけん」とて舟にせつ+屋形の上に二十かりにてひはづなる僧の、経袋首にかけて、夜昼(よるひる)経読みつを取りて海にち入れ。時に手まどひ経袋取りて浮びながら、手をささげてこの経をささげ出で浮き出ですに、「希有の法師の今まで死」とて、舟の櫂(い)してと打ち背中を突れなどすれ浮き出で浮き出でしつつ経をささぐ
  
-ちかれば、此わらはべはみえず。此僧にとふ、「我は、京の人。いづこへおはすぞ」とへば、「ゐ中の人に候。法師になりて、久し受戒をえ仕ねば、『いかで京のぼりて受戒せん』と申かば『いざ我にぐして山にしりたる人のあるに申つけてせさせん』と候しか、まかりのぼりつる也」といふ「わ僧の頭かひなたりつる児共はにぞ」とへば、「いづら、さるもの候つるおぼえず」といへば「さて、経ささげつるひな童そひたりつるは。抑にとて、只今しなとするに、此経袋をばささげつるぞ」ととへば、「死なんずるは、思まうけたば、命は惜くもあらず我はしぬばしが程もぬらしたてまつらじと思て、さげ奉に、かひなたゆくもあらず、あてかろくて、かいなもながくなるやうにて、かくささげられさぶらひつれば、御経のししとこそ。しぬべ心ちにもおぼえ候つれ。命いけさ給はんはうしき事」とてなくに此婆羅門のやうなる心にも、あはれにたうとくおぼえて、「『これより国へ帰らん』とやおもふ。又京に上て受戒とげんの心あらばをらん」といへば、「更に受戒の心も今候はずただ、帰りさぶらひ」とへば、「これより返しやりてんとす。さつくしかりつる童部は、何にかかくみえつる」とかたれば、この僧、あれにたうとくおぼて、ほろほろとなかる+「あやし」と思ひてよれば、このの水びた跡枕(あくら)に、げなる童のびづら結ひたるが、白き楚(すはえ)を持ちたる、二・三人ばかり見ゆ。僧の頭(かしら)に手をかけ、一人は経をささげたる腕(かひな)をらへたりと見ゆ。かへの者どもに、「あれ見よこの僧付きたる童部(わらはべ)は何ぞ」とへば、「いづら、いづらさら人なし」と言ふ。わが目にはたしかに見ゆ。このそひあへて海沈むこなし。浮かびあり。あやしければ「見ん」と思ひて、「に取り付きて来(こ)をさしやりたれば、取り付きたを引人々、「などくはするぞよしきわざする」とへば、「さはれ、の僧一人は生けとて、舟に乗せ。近れば、この童部
  
-七より、法花経よみ奉て、比もとなおそろしきまよみ奉りたれば、十羅刹おはましけこそ」といふに、婆羅門のやうなるもの心、「さは仏経目出く、くおは物なりけり」と思て僧にぐして、「山寺などへいなん」おもふ心つきぬ+この僧に問ふ。われは京の人か。いづこへおはするぞ」と問へば「田舎の人に候ふ。師になりて、久しく受戒えつかまつらねば、『いかで京に上り受戒せん』と申ししかば『いざ、われに具して、山((叡山延暦寺))に知りたる人のあるに、申しつけて、せさせん』と候ひしかば、まかり上りつるなり」と言ふ。「わ僧の頭や腕に取り付たりつる児どは誰(た)そ。何ぞ」問へば、「いつか、さるもの候ひつる。さらに覚えず」言へば、「さて、経ささげつる腕にも、童添ひたりつるは。そもそも、何と思ひて、ただ今死んとするに経袋をばささげつるぞ」と問へば、「死なんずるは、思ひうけたれば、命は惜しくあらず。『われは死ぬとも、経を、しばしがほども濡らし奉らじ』と思て、ささげ奉りしに、腕ゆくもあらず、あやまりて軽(かろ)くて、腕も長くなるやうにて、高くささげられ候ひつれば、御経のしるしとこそ。死ぬべき心地にも覚え候ひつれ。命生けさせ給はんは、嬉しきこと」とて泣くに、この婆羅門(ばらもん)のやうなる心に、あはれに尊く思えて、「『これより国へ帰らん』とや思ふ。また、京に上りて、受戒遂げんの心あらば送らん」と言へば、「さらに受戒の心も今ず。だ、帰り候ひなん」言へば、「これより返やりてんと。さても、美しかつる童部は、いかにか、かく見えつる」と語ればこの、あはれ尊く思えて、ほろほろ泣かる
  
-さて此僧と二人ぐして、かてすしをぐして、のりの物どもはしらずみなこの人々あづけてゆけば人々「物にるふか。こいかに。俄の道心よにあらじ。もののつきたるか」とてせいしとどむれどもきかで、弓、やなぐ、太刀、刀もみな捨て、僧にして、これが師の山寺なる所にいきて、法師に成て、そこにて経一部よみまいらせておこなひありくなり+「七つより法華経を読み奉りて、日ごろも異事(とごと)なく恐しきままにも読み奉たれば、十羅刹(じふらせつ)はしましけるにこそ」と言ふに、この婆羅門のやうなる者の心に、「さは仏経は、めでた尊くおしますものなりけり」とひて、この僧にして、山寺などへ往()なん」と思ふ心つ
  
-かかる罪をのみつくりしがむざうにおぼえて、男の手をすりてはらはらと泣まどひしを、海に入しより、すこし道心おこりにき。それに、いとど此僧に十羅刹のそひておはしましけるおもふに法花経のめたく読たてまつらまほしくおえて俄にかく成てあるなり+さて、この僧と二人具して、糧(かて)少しを具して、残りの物どもは知らず、みなこの人々に預けて行けば、人々、「ものに狂ふか。こはいかに。にはかの道心、よにあらじ。もののつきたるか」とて制し止むれども聞かで、弓・胡籙(やなぐひ)・太刀・刀もみな捨てて、この僧に具して、これが師の山寺なる所に行きて、法師になりて、そこにて経一部読み参らせて、行ひ歩(あり)くなり。 
 + 
 +かかる罪をのみりしが無慚(むざう)えて、この男の手をすりてはらはらと泣まどひしを、海に入しより、し道心おこりにき。それに、いとどこの僧に十羅刹の添ひておはしましけると思ふに、法華経のめでたく読み奉らまほしく思えて、にわかにかくなりてあるなり。」 
 + 
 +と語り侍りけり。 
 + 
 +===== 翻刻 ===== 
 + 
 +  今はむかし摂津国にいみしく老たる入道のおこなひうちして 
 +  ありけるか人の海賊にあひたりといふ物語するついてにいふ 
 +  やう我は若かりしおりはまことにたのしくてありし身也きる物食物に/下32ウy318 
 + 
 +  あきみちて明くれ海にうかひて世をは過しなり淡路の六 
 +  郎ついふくしとなんいひしそれに安芸の島にてこと船もことに 
 +  なかりしに舟一艘ちかくこきよすみれは廿五六斗の男のきよけなるそ 
 +  しうとおほくしてあるさてはわかき男二三はかりにてわつかに 
 +  みゆさては女とものよきなとあるへしをのつから簾のひまより 
 +  みれは皮子なとあまたみゆ物はよくつみたるにはかはかしき 
 +  人もなくてたたこの我舟につきてありく屋形のうへに若き僧 
 +  一人ゐて経よみてありくたれはおなしやうにくたり島へよれは 
 +  おなしやうによるとまれはまたとまりなとすれは此舟をえ見も 
 +  しらぬなりけりあやしと思てとひてんとおもひてこはいか 
 +  なる人のかくこの舟にのみくしてはおはするそいつくにおは 
 +  する人にかととへは周防国よりいそく事ありてまかるかさるへき 
 +  たのもしき人もくせねはおそろしくて此御舟をたのみて/下33オy319 
 + 
 +  かくつき申たるなりといへはいとをこかましと思てこれは京に 
 +  まかるにもあらすここに人待なり待つけてすはうのかたへ 
 +  くたらんするはいかてくしてとはあるそ京にのほらん舟にくして 
 +  こそおはせめといへはさらはあすこそはさもいかにもせめこよひは 
 +  猶も舟にくしてあらんとてしまかくれなる所にくしてとまり 
 +  ぬ人ともたたいまこそよき時なめれいさこの舟うつしてんとて 
 +  この舟にみなのる時に物もおほえすあきれまとひたり物のある 
 +  かきり我舟にとり入つ人ともはみな男女海にとりいるるに主人 
 +  手をこそこそとすりて水精のすすの緒きれたらんやうなる涙を 
 +  はらはらとこほしていはくよろつの物はみな取給へたた我命の 
 +  かきりはたすけ給へ京に老たる親のかきりにわつらひて今一 
 +  度みんと申たれはよるをひるにてつけにつかはしたれはいそき罷 
 +  のほる也ともえいひやらて我に目を見あはせて手をするさまい/下33ウy320 
 + 
 +  みしこれかくないはせそれいのことくとくといふに目を見合て 
 +  なきまとふさまいといといみしあはれにむさうにおほえしか 
 +  ともさいひていかかせんと思なして海に入つ屋形の上に廿斗 
 +  にてひわつなる僧の経袋くひにかけてよるひる経よみつるを 
 +  とりて海にうち入つ時に手まとひして経袋をとりて水 
 +  のうへにうかひなから手をささけて此経をささけてうき出うき出 
 +  する時にけうの法師のいままて死なぬとて舟のかいして 
 +  頭をはたとうちせなかをつきいれなとすれとうき出うき出しつつ 
 +  此経をささくあやしと思てよくみれは此僧の水にうかひたる 
 +  跡枕にうつくしけなる童のひつらゆひたるかしろきすはへを 
 +  持たる二三人はかりみゆ僧の頭に手をかけ一人は経をささけ 
 +  たるかひなをとらへたりとみゆかたへの者ともにあれみよこの 
 +  僧につきたる童部はなにそといへはいつらいつら更に人なしと/下34オy321 
 + 
 +  いふ我目にはたしかにみゆ此童部そひてあへて海にしつ 
 +  む事なしうかひてありあやしけれはみんと思てこれにとり 
 +  つきてことて棹をさしやりたれはとりつきたるを引よせ 
 +  たれは人々なとかくはするそよしなきわさするといへはさは 
 +  れ此僧ひとりはいけんとて舟にのせつちかくなれは此わらは 
 +  へはみえす此僧にとふ我は京の人かいつこへおはするそととへはゐ 
 +  中の人に候法師になりて久しく受戒をえ仕らねはいかて京に 
 +  のほりて受戒せんと申しかはいさ我にくして山にしりたる 
 +  人のあるに申つけてせさせんと候しかはまかりのほりつる也と 
 +  いふわ僧の頭やかひなに取付たりつる児共はたそなにそととへ 
 +  はいつかさるもの候つる更におほえすといへはさて経ささけつる 
 +  かひなにも童そひたりつるは抑なにと思て只今しなんとするに 
 +  此経袋をはささけつるそととへは死なんするは思まうけたれは/下34ウy322 
 + 
 +  命は惜くもあらす我はしぬとも経をしはしか程もぬらしたて 
 +  まつらしと思てささけ奉しにかひなたゆくもあらすあやま 
 +  りてかろくてかいなもなかくなるやうにてたかくささけられさ 
 +  ふらひつれは御経のしるしとこそしぬへき心ちにもおほえ候 
 +  つれ命いけさせ給はんはうれしき事とてなくに此婆羅門 
 +  のやうなる心にもあはれにたうとくおほえてこれより国へ帰らん 
 +  とやおもふ又京に上て受戒とけんの心あらはをくらんといへは 
 +  更に受戒の心も今は候はすたた帰りさふらひなんといへはこ 
 +  れより返しやりてんとすさてもうつくしかりつる童部は何にか 
 +  かくみえつるとかたれはこの僧あはれにたうとくおほえてほろほろ 
 +  となかる七より法花経をよみ奉て日比もことことなく物のおそ 
 +  ろしきままにもよみ奉りたれは十羅刹のおはしましけるに 
 +  こそといふに此婆羅門のやうなるものの心にさは仏経は目出くたう/下35オy323 
 + 
 +  とくおはします物なりけりと思て此僧にくして山寺なとへ 
 +  いなんとおもふ心つきぬさて此僧と二人くしてかてすこしをくし 
 +  てのこりの物ともはしらすみなこの人々にあつけてゆけは人 
 +  々物にくるふかこはいかに俄の道心よにあらしもののつきたるか 
 +  とてせいしととむれともきかて弓やなくひ太刀刀もみな捨て 
 +  此僧にくしてこれか師の山寺なる所にいきて法師に成てそこ 
 +  にて経一部よみまいらせておこなひありくなりかかる罪をのみ 
 +  つくりしかむさうにおほえて此男の手をすりてはらはらと泣 
 +  まとひしを海に入しよりすこし道心おこりにきそれに 
 +  いとと此僧に十羅刹のそひておはしましけるとおもふに法花 
 +  ​経のめたく読たてまつらまほしくおえて俄にかく成てある 
 +  ​なりとかたり侍けり/下35ウy324
  
-とかたり侍けり。 


text/yomeiuji/uji123.txt · 最終更新: 2019/04/16 13:50 by Satoshi Nakagawa