text:yomeiuji:uji107
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text:yomeiuji:uji107 [2018/12/10 22:02] – Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji107 [2021/11/07 22:36] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | 昔、唐土(もろこし)に宝志和尚(ほうしくわしやう)といふ聖あり。 | + | 昔、唐土(もろこし)に宝志和尚(ほうしくわしやう)((宝誌・保誌とも表記する。))といふ聖あり。 |
いみじく尊くおはしければ、御門、「かの聖の姿を書き留めん」とて、絵師三人をつかはして、「もし一人しては、書き違(たが)ゆることもあり」とて、三人して、面々に写すべきよし、仰せ含められて、つかはさせ給ふに、三人の絵師、聖のもとへ参りて、かく宣旨を蒙りて、詣でたるよし申しければ、「しばし」と言ひて、法服の装束して、出で合ひ給へるを、三人の絵師、おのおの書くべき絹を広げて、三人並びて、筆を下さんとするに、聖、「しばらく。わがまことの形あり。それを見て書き写すべし」とありければ、絵師、さうなく書かずして、聖の御顔を見れば、大指の爪にて、額(ひたい)の皮をさし切りて、皮を左右へ引きのけてあるより、金色の菩薩の顔をさし出でたり。 | いみじく尊くおはしければ、御門、「かの聖の姿を書き留めん」とて、絵師三人をつかはして、「もし一人しては、書き違(たが)ゆることもあり」とて、三人して、面々に写すべきよし、仰せ含められて、つかはさせ給ふに、三人の絵師、聖のもとへ参りて、かく宣旨を蒙りて、詣でたるよし申しければ、「しばし」と言ひて、法服の装束して、出で合ひ給へるを、三人の絵師、おのおの書くべき絹を広げて、三人並びて、筆を下さんとするに、聖、「しばらく。わがまことの形あり。それを見て書き写すべし」とありければ、絵師、さうなく書かずして、聖の御顔を見れば、大指の爪にて、額(ひたい)の皮をさし切りて、皮を左右へ引きのけてあるより、金色の菩薩の顔をさし出でたり。 |
text/yomeiuji/uji107.1544446926.txt.gz · 最終更新: 2018/12/10 22:02 by Satoshi Nakagawa