text:yomeiuji:uji100
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text:yomeiuji:uji100 [2014/10/06 22:20] – Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji100 [2018/09/26 00:02] (現在) – Satoshi Nakagawa | ||
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**下野武正、大風雨の日、法性寺殿に参る事** | **下野武正、大風雨の日、法性寺殿に参る事** | ||
- | これも今はむかし、下野武正といふ舎人は法性寺殿に候けり。あるおり、大風、大雨ふりて、京中の家みなこぼれやぶれけるに、殿下、近衛殿におはしましける南面のかたに、ののしる物のこゑしけり。 | + | ===== 校訂本文 ===== |
- | 「誰ならん」とおぼしめしてみせ給に、武正、あかかうのかみしもに蓑笠をきて、みののうへに縄を帯にして、ひがさのうへを又をとがひになわにてからげつけて、かせ杖をつきて、走まはりておこなふ也けり。 | + | これも今は昔、下野武正といふ舎人は、法性寺殿((藤原忠通))に候ひけり。ある折、大風、大雨降りて、京中の家みな壊(こぼ)れ破れけるに、殿下、近衛殿におはしましけるに((底本「に」虫損。諸本により補う。))、南面の方に、ののしる者の声しけり。 |
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+ | 「誰ならん」と思し召して、見せ給ふに、武正、赤香(あかかう)の裃(かみしも)に蓑笠を着て、蓑(みの)の上に縄を帯にして、檜笠(ひがさ)の上を、またおとがひに縄にてからげ付けて、鹿杖(かせづゑ)を突きて、走り回りて行ふなりけり。おほかた、その姿、おびただしく似るべきものなし。 | ||
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+ | 殿、南面(みなみおもて)へ出でて、御簾より御覧ずるに、あさましく思し召して、御馬をなん賜びけり。 | ||
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+ | ===== 翻刻 ===== | ||
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+ | これも今はむかし下野武正といふ舎人は法性寺殿に候けり | ||
+ | あるおり大風大雨ふりて京中の家みなこほれやふれける/112ウy228 | ||
+ | |||
+ | に殿下近衛殿におはしましける南面のかたにののしる物の | ||
+ | こゑしけり誰ならんとおほしめしてみせ給に武正あか | ||
+ | かうのかみしもに蓑笠をきてみののうへに縄を帯にして | ||
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+ | たたしくにるへき物なし殿南おもてへいてて御簾より | ||
+ | 御覧するにあさましくおほしめして御馬をなんたひけり/113オy229 | ||
- | 大かたその姿、おびただしくにるべき物なし。殿、南おもてへいでて、御簾より御覧ずるに、あさましくおぼしめして、御馬をなんたびけり。 |
text/yomeiuji/uji100.txt · 最終更新: 2018/09/26 00:02 by Satoshi Nakagawa