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text:yomeiuji:uji067

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text:yomeiuji:uji067 [2014/10/05 17:33]
Satoshi Nakagawa
text:yomeiuji:uji067 [2018/03/18 22:03] (現在)
Satoshi Nakagawa
ライン 6: ライン 6:
 **永超僧都、魚食の事** **永超僧都、魚食の事**
  
-これも今は昔、南京の永超僧都は、魚なきかぎりは時・非時もすべてくはざりける人なり。公請つとめて、在京のあひだ、ひさしくなりて、魚をくはでくづおれてくだるあひだ、なしまの丈六堂の辺にてひるわりごくふに、弟子一人、近辺の在家にて魚をこひてすすめたりけり。+===== 校訂本文 =====
  
-件の魚のぬし、後にゆめにみるやうおそろしげなる物ども、そへんの在家をしるしけるに、我家をしるしのぞきければ、たづぬる処に、使のいはく「永超僧都まつ所也。さて、しるしのぞく」といふ+これも今南京の永超僧都は、なきかぎりは時・非時もすべ食はざりけ人なり
  
-そのとし、このむらの在家こととくゑやみをして死ぬるものおほかり此魚のぬし家た一宇その事をまぬよりて僧都のもとへまいりむかひてこのよしを申+公請勤めて、在京のあひだ、久しくなりて、魚を食はで、くづほれて下るあひだ、奈島(なしま)の丈六堂の辺にて、昼破子(ひるわりご)食ふに、弟子一人、近辺の在家にて、魚を乞ひて勧めたりけり。 
 + 
 +件の魚の主(ぬし)、後には夢に見るやう、恐しげなる物ども、その辺(へん)の在家を記しけるに、わが家を記し除きければ、尋ぬるころに、使のいはく、「永超僧都に魚奉る所なり。さて、記除く」と言ふ。 
 + 
 +その年この村の在家、ことごとく疫病(えや)みをして、死ぬる者多かり。この魚の主が家、ただ一宇、そのことを免(まぬ)かる。 
 + 
 +よりて、僧都のもとへ参り向ひて、このよしを申す。僧都、このよしを聞きて、かづけ物一重賜びてぞ、帰されける。 
 + 
 +===== 翻刻 ===== 
 + 
 +  これも今は昔南京の永超僧都は魚なきかきりは時非時も/72オy147 
 + 
 +  すへてくはさりける人なり公請つとめて在京のあひたひさしく 
 +  なりて魚をくはてくつおれてくたるあひたなしまの丈六堂の 
 +  辺にてひるわりこくふに弟子一人近辺の在家にて魚をこひ 
 +  てすすめたりけり件の魚のぬし後にはゆめにみるやうおそろし 
 +  けなる物ともそのへんの在家をしるしけるに我家をしるし 
 +  のそきけれはたつぬる処に使のいはく永超僧都に魚たて 
 +  まつる所也さてしるしのそくといふそのとしこのむらの在家 
 +  ​こととくゑやみをして死ぬるものおほかり此魚のぬし 
 +  か家た一宇その事をまぬるよりて僧都のもとへ 
 +  ​まいりむかひてこのよしを申僧都此よしを聞てかつけ 
 +  物一重たひてそかへされける/72ウy148
  
-僧都、此よしを聞て、かづけ物一重たびてぞ、かへされける。 


text/yomeiuji/uji067.txt · 最終更新: 2018/03/18 22:03 by Satoshi Nakagawa