text:yomeiuji:uji064
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text:yomeiuji:uji064 [2014/10/05 17:21] – Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji064 [2018/03/18 18:59] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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**式部大夫実重、賀茂の御正体拝見の事** | **式部大夫実重、賀茂の御正体拝見の事** | ||
- | これも今はむかし、式部大夫重実は賀茂へまいる事ならびなき物なり。前生の運、おろそかにして、身に過たる利生にあづからず。 | + | ===== 校訂本文 ===== |
- | 人の夢に大明神、「又、実重きたり。又、実重きたり」とて、なげかせおはしますよしみけり。 | + | これも今は昔、式部大夫実重((平実重))は、賀茂へ参ること、ならびなき者なり。前生の運、おろそかにして、身に過ぎたる利生にあづからず。 |
- | 実重、御本地をみたてまつるべきよし、祈申に、有夜、下の御社に通夜したる夜、上へまいるあひだ、なからきのほとりにて、行幸にあひたてまつる。百官供奉つねのごとし。実重、片薮にかくれゐてみれば、鳳輦の中に金泥の経、一巻たたせおはしましたり。その外題に「一称南無仏。皆已成仏道」と、かかれたり。 | + | 人の夢に、大明神((賀茂大明神))、「また実重、来たり、来たり」とて、歎かせおはしますよし、見けり。 |
+ | |||
+ | 実重、御本地を見奉るべきよし、祈り申すに、ある夜、下の御社に通夜したる夜、上へ参るあひだ、なから木のほとりにて、行幸に合ひ奉る。百官供奉、常のごとし。実重、片薮に隠れ居て見れば、鳳輦の中に金泥の経、一巻立たせおはしましたり。その外題に「一称南無仏。皆已成仏道」と書かれたり。 | ||
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+ | 夢、すなはち覚めぬとぞ。 | ||
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+ | ===== 翻刻 ===== | ||
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+ | これも今はむかし式部大夫実重は賀茂へまいる事ならひ | ||
+ | なき物なり前生の運おろそかにして身に過たる利生に | ||
+ | あつからす人の夢に大明神又実重きたりきたりとてなけ | ||
+ | かせおはしますよしみけり実重御本地をみたてまつる | ||
+ | へきよし祈申に有夜下の御社に通夜したる夜上へまいる | ||
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- | 夢、則さめぬとぞ。 |
text/yomeiuji/uji064.txt · 最終更新: 2018/03/18 18:59 by Satoshi Nakagawa