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text:yomeiuji:uji054 [2018/02/17 16:23] Satoshi Nakagawatext:yomeiuji:uji054 [2018/03/08 21:23] (現在) – [第54話(巻4・第2話)佐渡国に金有る事] Satoshi Nakagawa
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 **佐渡国に金有る事** **佐渡国に金有る事**
  
-能登国には、鉄(くろがね)といふものの、素鉄(すがね)といふほどなるを取りて、守に取らする者、六十人ぞあんなる。+===== 校訂本文 =====
  
-実房((藤原実房))といふ守の任に、鉄取り、六十人が長なりけるものの、「佐渡国にこそ、金(こがね)の花咲きたる所ありしか」と人に言ひけるを、守、伝へ聞きて、その男を、守、呼び取りて、物取らせなどして、すかし問ひければ、「佐渡の国は、まことの金の侍るなり。候ひし所を見置きて侍るなり」と言へば、「さらば、行きて取りて来なんや」と言へば、「遣はさば、まかり候はん」と言ふ。+能登国には、鉄(くろがね)といふものの、素鉄(すがね)といふほどなるを取りて、守に取らする者、六十人ぞあんなる。実房((藤原実房))といふ守の任に、鉄取り、六十人が長なりけるものの、「佐渡国にこそ、金(こがね)の花咲きたる所ありしか」と人に言ひけるを、守、伝へ聞きて、その男を、守、呼び取りて、物取らせなどして、すかし問ひければ、「佐渡の国は、まことの金の侍るなり。候ひし所を見置きて侍るなり」と言へば、「さらば、行きて取りて来なんや」と言へば、「遣はさば、まかり候はん」と言ふ。
  
 「さらば、舟を出だしたてん」と言ふに、「人をば給はり候はじ。ただ、小舟一つと、食ひ物少しとを給はり候ひて、まかり至りて、もしやと、取りて参らん」と言へば、ただ、これが言ふにまかせて、人にも知らせず、小舟一つと食ふべき物少しとを取らせたりければ、それを見て、佐渡国へ渡りにけり。 「さらば、舟を出だしたてん」と言ふに、「人をば給はり候はじ。ただ、小舟一つと、食ひ物少しとを給はり候ひて、まかり至りて、もしやと、取りて参らん」と言へば、ただ、これが言ふにまかせて、人にも知らせず、小舟一つと食ふべき物少しとを取らせたりければ、それを見て、佐渡国へ渡りにけり。
text/yomeiuji/uji054.txt · 最終更新: 2018/03/08 21:23 by Satoshi Nakagawa