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text:yomeiuji:uji013 [2017/10/23 15:09]
Satoshi Nakagawa
text:yomeiuji:uji013 [2017/12/20 23:54] (現在)
Satoshi Nakagawa [第13話(巻1・第13話)田舎の児、桜の散るを見て泣く事]
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 **田舎の児、桜の散を見て泣く事** **田舎の児、桜の散を見て泣く事**
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 +===== 校訂本文 =====
  
 これも今は昔、田舎の児(ちご)の、比叡(ひえ)の山((比叡山延暦寺))へ登りたりけるが、桜のめでたく咲きたりけるに、風のはげしく吹きけるを見て、この児、さめざめと泣きけるを見て、僧の、やはら寄りて、「など、かうは泣かせ給ふぞ。この花の散るを、惜しう思えさせ給ふか。桜ははかなきものにて、かくほどなくうつろひ候ふなり。されども、さのみぞ候ふ((底本「さらふ」。諸本により補った。))」と慰めければ、「桜の散らんは、あながちにいかがせん、苦しからず。わが父(てて)の作りたる、麦の花散りて、実の入らざらん、思ふがわびしき」と言ひて、さくりあげて、「よよ」と泣きければ、うたてしやな。 これも今は昔、田舎の児(ちご)の、比叡(ひえ)の山((比叡山延暦寺))へ登りたりけるが、桜のめでたく咲きたりけるに、風のはげしく吹きけるを見て、この児、さめざめと泣きけるを見て、僧の、やはら寄りて、「など、かうは泣かせ給ふぞ。この花の散るを、惜しう思えさせ給ふか。桜ははかなきものにて、かくほどなくうつろひ候ふなり。されども、さのみぞ候ふ((底本「さらふ」。諸本により補った。))」と慰めければ、「桜の散らんは、あながちにいかがせん、苦しからず。わが父(てて)の作りたる、麦の花散りて、実の入らざらん、思ふがわびしき」と言ひて、さくりあげて、「よよ」と泣きければ、うたてしやな。


text/yomeiuji/uji013.txt · 最終更新: 2017/12/20 23:54 by Satoshi Nakagawa