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text:yomeiuji:uji011 [2014/09/27 17:18] Satoshi Nakagawatext:yomeiuji:uji011 [2017/10/21 16:24] Satoshi Nakagawa
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 **源大納言雅俊、一生不犯の金打せたる事** **源大納言雅俊、一生不犯の金打せたる事**
  
-これも今は昔、京極の源大納言雅俊)といふ人おはしけり。+これも今は昔、京極の源大納言((源雅俊。底本「雅俊」と注あり。))といふ人おはしけり。
  
-仏事をせられけるに、仏前にて僧に鐘を打せて、一生不犯なるをえらびて、講をおこなはれけるに、ある僧の礼盤にのぼりて、すこかほけしきひたるやうにて、鐘木をりてまはして打もやらで、しばしばかりありければ、大納言「いかに」と思はれけるほどに、やや久しくはでありければ、人どもつかなく思けるほどに、僧わななきたる声にて「かはつるみはいかが候べき」と、いひたるに、諸人とがひをはなちてわらひたるに、一人の侍ありて「かはつるみは、いくつにてさぶらひしぞ」と問たるに、くびをひねりて「きと夜部もしてさぶらひき」とふに、大かたとよみあへり+仏事をせられけるに、仏前にて僧に鐘を打せて、一生不犯なるをびて、講をなはれけるに、ある僧の礼盤(らいばん)りて、顔・気色たがひたるやうになりて、鐘木(しゆもく)りて、振してもやらで、しばしばかりありければ、大納言「いかに」と思はれけるほどに、やや久しくのも言はでありければ、人ども、おぼつかなく思けるほどに、このわななきたる声にて「かはつるみはいかが候べき」とひたるに、諸人、おとがひをちてひたるに、一人の侍ありて「かはつるみは、いくつばかりにてさぶらひしぞ」と問たるに、この、首をひねりて「きと夜部(よべ)もしてさぶらひき」とふに、おほかた、どよみあへり。 
 + 
 +そのまぎれに、早う逃げにけりとぞ。 
 + 
 +===== 翻刻 ===== 
 + 
 +  これも今は昔京極の源大納言(雅俊)といふ人おはしけり仏事を 
 +  せられけるに仏前にて僧に鐘を打せて一生不犯なるをえらひ 
 +  て講をおこなはれけるにある僧の礼盤にのほりてすこしかほけしき 
 +  たかひたるやうに成て鐘木をとりてふりまはして打もやらてしはし 
 +  はかりありけれは大納言いかにと思はれけるほとにやや久しく物もいはてあり/14ウy32 
 + 
 +  けれは人とも覚つかなく思けるほとに此僧わななきたる声 
 +  にてかはつるみはいかか候へきといひたるに諸人をとかひをはなちて 
 +  わらひたるに一人の侍ありてかはつるみはいくつ斗にてさふらひし 
 +  そと問たるに此僧くひをひねりてきと夜部もしてさふら 
 +  ひきといふに大かたとよみあへり其紛にはやう逃にけりとそ/15オy33
  
-其紛にはやう逃にけりとぞ。 
text/yomeiuji/uji011.txt · 最終更新: 2020/09/13 12:53 by Satoshi Nakagawa