ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:yomeiuji:uji004

差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

両方とも前のリビジョン前のリビジョン
次のリビジョン
前のリビジョン
text:yomeiuji:uji004 [2017/10/18 18:36] Satoshi Nakagawatext:yomeiuji:uji004 [2017/12/20 23:45] (現在) – [第4話(巻1・第4話)伴大納言の事] Satoshi Nakagawa
行 5: 行 5:
  
 **伴大納言の事** **伴大納言の事**
 +
 +===== 校訂本文 =====
  
 これも今は昔、伴大納言善男((伴善男))は佐渡国郡司が従者なり。 これも今は昔、伴大納言善男((伴善男))は佐渡国郡司が従者なり。
  
-彼の国にて、善男、夢に見るやう、「西大寺と東大寺とを<跨ぎて立ちたり」と見て、妻(め)の女に、このよしを語る。妻のいはく、「そこの股こそ裂かれんずらめ」と合はするに、善男、驚きて、「よしなきことを語りてけるかな」と恐れ思ひて、主(しう)の郡司が家へ行き向ふ所に、郡司、極めたる相人なりけるが、日ごろはさもせぬに、ことのほかに饗応して、円座(わらうだ)取り出で、迎ひて召しのぼせければ、善男、怪しみをなして、「われをすかしのぼせて、妻の言ひつるやうに、股など裂かんずるやらん」と恐れ思ふほどに、郡司がいはく、「なんぢ、やむごとなき高相の夢見てけり。それに、よしなき人に語りてけり。かならず大位には至るとも、こと出で来て、罪をかぶらんぞ」と言ふ。+彼の国にて、善男、夢に見るやう、「西大寺と東大寺とを跨ぎて立ちたり」と見て、妻(め)の女に、このよしを語る。妻のいはく、「そこの股こそ裂かれんずらめ」と合はするに、善男、驚きて、「よしなきことを語りてけるかな」と恐れ思ひて、主(しう)の郡司が家へ行き向ふ所に、郡司、極めたる相人なりけるが、日ごろはさもせぬに、ことのほかに饗応して、円座(わらうだ)取り出で、迎ひて召しのぼせければ、善男、怪しみをなして、「われをすかしのぼせて、妻の言ひつるやうに、股など裂かんずるやらん」と恐れ思ふほどに、郡司がいはく、「なんぢ、やむごとなき高相の夢見てけり。それに、よしなき人に語りてけり。かならず大位には至るとも、こと出で来て、罪をかぶらんぞ」と言ふ。
  
 しかるあひだ、善男、縁につきて、京上りして、大納言に至る。されども、なほ、罪をかぶる。郡司が言葉にたがはず。 しかるあひだ、善男、縁につきて、京上りして、大納言に至る。されども、なほ、罪をかぶる。郡司が言葉にたがはず。
text/yomeiuji/uji004.txt · 最終更新: 2017/12/20 23:45 by Satoshi Nakagawa