text:yamato:u_yamato159
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大和物語
第159段 染殿の内侍といふいますかりけり・・・
校訂本文
染殿の内侍といふ、いますかりけり。それを能有(よしあり)の大臣1)と申しけるなん、時々住み給ひける。
もの2)をよくし給ひければ、御衣(おんぞ)どもをなん、あづけさせ給ひける。綾ども多くつかはしたりければ、「雲鳥(くもとり)の紋の綾をや染むべき」と聞こえたりしを、ともかくものたまはせねば、「えなんつかうまつらぬ。定め承はらん」と申し奉りければ、大臣(おとど)の御返事、
雲鳥の綾の色をもおもほえず人をあひ見で年の経ぬれば
となんのたまひける。
翻刻
典侍因香朝臣古今作者寛平典侍自前 代補及延喜能有文徳源氏右大臣左近大 将寛平九年薨号近衛院大臣 そめとののないしといふいますかり けりそれをよしありのおととと申/d61r
けるなんときときすみ給けるをよくし たまひけれは御そともをなんあつけ させたまひけるあやともおほくつか はしたりけれはくもとりのもんのあや おやそむへきときこえたりしをとも かくものたまはせねはえなんつかう まつらぬさためうけ給はらんと申 たてまつりけれはおととの御返事 くもとりのあやのいろをもおもほ えす人をあひみてとしのへぬれは となんのたまひける/d62l
text/yamato/u_yamato159.1505540848.txt.gz · 最終更新: 2017/09/16 14:47 by Satoshi Nakagawa