text:yamato:u_yamato150
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text:yamato:u_yamato150 [2017/09/11 20:45] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:yamato:u_yamato150 [2017/09/12 22:59] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | 昔、奈良の御門につかうまつる采女(うねべ)ありけり。顔・形いみじくきよらにて、人々よばひ、殿上人などしよばひけれど、あはざりけり。そのあはぬ心は、御門をかぎりなくめでたきものになん思ひ奉りける。 | + | 昔、ならの御門につかうまつる采女(うねべ)ありけり。顔・形いみじくきよらにて、人々よばひ、殿上人などしよばひけれど、あはざりけり。そのあはぬ心は、御門をかぎりなくめでたきものになん思ひ奉りける。 |
御門、召してけり。さてのち、またも召さざりければ、かぎりなく、「心憂し」と思ひけり。夜昼心にかかりて思え給ひつつ、恋ひしう、わびしく思ひ給ひけり。御門は召ししことも思さず。さすがに、つねには見奉る。いかにも世に経(ふ)べき心地し給はざりければ、夜、みそかに出でて、猿沢の池に身を投げてけり。 | 御門、召してけり。さてのち、またも召さざりければ、かぎりなく、「心憂し」と思ひけり。夜昼心にかかりて思え給ひつつ、恋ひしう、わびしく思ひ給ひけり。御門は召ししことも思さず。さすがに、つねには見奉る。いかにも世に経(ふ)べき心地し給はざりければ、夜、みそかに出でて、猿沢の池に身を投げてけり。 |
text/yamato/u_yamato150.txt · 最終更新: 2017/09/12 22:59 by Satoshi Nakagawa