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text:yamato:u_yamato143
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text:yamato:u_yamato143 [2017/09/06 18:45] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa
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 +大和物語
 +====== 第143段 昔、在中将の御息子在次滋春の君といふが妻なる人なんありける・・・ ======
 +
 +===== 校訂本文 =====
 +
 +昔、在中将((在原業平))の御息子(みむすこ)在次滋春(ざいじしげはる)((在原滋春))の君といふが妻(め)なる人なんありける。女は山蔭の中納言((藤原山蔭))の御姫(みひめ)にて、五条の御(ご)となんいひける。かの在次君の妹の、伊勢の守の妻にていますかりけるが御(み)もとに行きて、守の召人(めしうど)にてありけるを、この妻のせうとの在次君は、忍びて住むになんありける。
 +
 +「われのみ」と思ふに、この男の兄弟(はらから)なん、また、逢ひたる気色なりける。さりければ、女のもとに、
 +
 +  忘れなんと思ふ心の悲しきは憂きも憂からぬ((「ぬ」は底本「め」。諸本により訂正。))ものにぞありける
 +
 +となん詠みたりける。
 +
 +今はみな古歌(ふるうた)になりたることなり。
 +
 +===== 翻刻 =====
 +
 +  むかし在中将のみむすこ在次滋春
 +  のきみといふかめなるひとなんあり/d30l
 +
 +  ける女はやまかけの中納言のみひめ
 +  にて五条のことなんいひけるか
 +  のさいしきみのいもうとの伊勢のかみのめにていますかりけるか
 +  みもとにいきてかみのめしうとにて
 +  ありけるをこのめのせうとのさい
 +  しきみはしのひてすむになんあり
 +  けるわれのみとおもふにこのおとこの
 +  はらからなん又あひたるけしきなり
 +  けるさりけれは女のもとに
 +    わすれなんとおもふこころのかなし
 +    きはうきもうからめものにそありける
 +  となんよみたりけるいまはみなふる/d31r
 +
 +  うたになりたることなり/d31l
  
text/yamato/u_yamato143.txt · 最終更新: 2017/09/06 18:45 by Satoshi Nakagawa