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text:yamato:u_yamato122
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text:yamato:u_yamato122 [2017/08/30 17:42] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa
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 +大和物語
 +====== 第122段 とし子が志賀に詣で来たりけるに増喜君といふ法師ありけり・・・ ======
 +
 +===== 校訂本文 =====
 +
 +とし子が志賀((志賀寺))に詣で来たりけるに、増喜君(ぞうきぎみ)といふ法師ありけり。それは、比叡(ひえ)に住む、院の殿上もする法師になんありける。
 +
 +それ、このとし子の詣でたるに、志賀に詣で逢ひにけり。橋殿に局(つぼね)をしてゐて、よろづのこと言ひかはしけり。
 +
 +今は、とし子帰りなんとしける。それに、増喜のもとより、
 +
 +  会ひ見ては別るることのなかりせばかつがつものは思はざらまし
 +
 +返し、
 +
 +  いかなればかつがつものを思ふらん名残もなくぞわれは悲しき
 +
 +となんありける。ことはりいと多くなんありける。
 +
 +===== 翻刻 =====
 +
 +  としこかしかにまうてきたりけるに/d15l
 +
 +  増喜きみといふ法師ありけりそれは
 +  ひえにすむゐんのてんしやうもする
 +  法師になんありけるそれこのとしこの
 +  まうてたるにしかにまうてあひに
 +  けりはしとのにつほねをしてゐて
 +  よろつのこといひかはしけりいまは
 +  としこかへりなんとしけるそれにそ
 +  うきのもとより
 +    あひみてはわかるることのなかりせは
 +    かつかつものはおもはさらまし
 +  かへし/d16r
 +
 +    いかなれはかつかつものをおもふらん
 +    なこりもなくそ我はかなしき
 +  となんありけることはりいとおほく
 +  なんありける/d16l
  
text/yamato/u_yamato122.txt · 最終更新: 2017/08/30 17:42 by Satoshi Nakagawa