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text:yamato:u_yamato027

大和物語

第27段 戒仙といふ人法師になりて山に住む間にあらはひなどする人の・・・

校訂本文

戒仙(かいせう)といふ人、法師になりて、山に住む間に、あらはひなどする人のなかりければ、親のもとに衣(きぬ)をなん洗ひにおこせたりければ、いかなる折にかありけん、むつか りて、「親・はらからの言ふことも聞かで、法師になりぬる人は、かくうるさきこと言ふものか」と言ひければ、詠みてやりける。

  今はわれいづち行かまし山にても世の憂きことはなほも絶えぬは

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かいせうといふひと法師になりて山に
すむあひたにあらはひなとする人の
なかりけれはをやのもとにきぬを
なんあらひにおこせたりけれは
いかなるをりにかありけんむつか
りてをやはらからのいふこともきかて/d17r
法師になりぬるひとはかくうるさき
こといふものかといひけれはよみてやりける
  いまはわれいつちゆかましやまにて
  もよのうきことはなをもたえぬは/d17l
text/yamato/u_yamato027.txt · 最終更新: 2017/06/06 00:52 by Satoshi Nakagawa