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text:yamato:u_yamato023
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text:yamato:u_yamato023 [2017/05/27 17:21] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa
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 +大和物語
 +====== 第23段 陽成院の二の御子後蔭の中将の女に年ごろ住み給ひけるを・・・ ======
 +
 +===== 校訂本文 =====
 +
 +陽成院((陽成天皇))の二の御子((第二皇子元平親王。「二の御子」は底本「二条のみこ」。諸本により訂正。))、後蔭の中将((藤原後蔭。底本、「のちかけ」とあり、「俊」と傍書。俊蔭ともいう。))の女(むすめ)に、年ごろ住み給ひけるを、女五宮得奉り給ひて後、さらにとひ給はざりければ、「今はおはしますまじきなめり」と思ひ絶えて、いとあはれにて居給へりけるに、いと久しくありて、思ひかけぬほどにおはしましたりければ、えものも聞こえで、逃げて、戸の内に入りにけり。
 +
 +帰り給ひて、御子、あしたに、「などか、『年ごろのことも申さむ』と思ひて詣で来たりしに、隠れ給ひにしも」と、ありければ、言葉はなくて、かくなん、
 +
 +  せかなくに絶えと絶えにし山水(やまみづ)の誰しのべとか声を聞かせん
 +
 +===== 翻刻 =====
 +
 +  元平弾正君後蔭延喜十年右少将四位同九月右中将/d15r
 +
 +  廿一年二月中納言有穂男
 +  陽成院の二条のみこのち(俊)かけの中将のむ
 +  すめにとしころすみたまひけるを
 +  女五宮えたてまつりたまひてのちさら
 +  にとひたまはさりけれはいまはおはします
 +  ましきなめりとおもひたえていとあ
 +  はれにてゐたまへりけるにいとひさしく
 +  ありておもひかけぬほとにおはしま
 +  したりけれはえものもきこえてに
 +  けてとのうちにいりにけりかへり給
 +  て御こあしたになとかとしころのことも申さむ/d15l
 +
 +  とおもひてまうてきたりしにかくれたま
 +  ひにしもとありけれはことははなくて
 +  かくなん
 +    せかなくにたえとたえにしやまみ
 +    つのたれしのへとかこゑをきかせん/d16r
  
text/yamato/u_yamato023.txt · 最終更新: 2017/05/27 17:21 by Satoshi Nakagawa