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— | text:turezure:k_tsurezure191.txt [2018/10/20 12:36] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa | ||
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+ | 徒然草 | ||
+ | ====== 第191段 夜に入りて物の栄えなしと言ふ人いと口惜し・・・ ====== | ||
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+ | ===== 校訂本文 ===== | ||
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+ | 「夜に入りて、物の栄(は)えなし」と言ふ人、いと口惜し。よろづの物のきら、飾り・色ふしも、夜のみこそめでたけれ。 | ||
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+ | 昼は、ことそぎ、およすげたる姿にてもありなん。夜は、きららかに、花やかなる装束(さうぞく)いとよし。人の気色も、夜の火影(ほかげ)ぞ、よきはよく、もの言ひたる声も暗くて聞きたる、用意ある心にくし。匂ひも、ものの音(ね)も、ただ夜ぞ、ひときはめでたき。 | ||
+ | |||
+ | さしてことなることなき夜、うち更けて参れる人の、清げなるさましたる、いとよし。若きどち、心とどめて見る人は、時をも分かぬものなれば、ことにうちとけぬべき折節ぞ、褻(け)・晴(はれ)なくひきつくろはまほしき。よき男の、日暮れてゆするし、女も夜更くるほどに、すべりつつ、鏡取りて、顔などつくろひて出づるこそをかしけれ。 | ||
+ | |||
+ | ===== 翻刻 ===== | ||
+ | |||
+ | 夜に入て物のはへなしといふ人。いと口 | ||
+ | おし。万のもののきらかざり色ふし | ||
+ | も。夜のみこそめでたけれ。昼はことそ | ||
+ | ぎ。をよすけたる姿にても有なん。夜は。き | ||
+ | ららかに。花やかなるさうぞくいとよし。 | ||
+ | 人のけしきも。夜のほかげぞよきは/k2-44r | ||
+ | |||
+ | よく。物いひたる声もくらくて聞たる | ||
+ | 用意ある心にくし。にほひもものの音 | ||
+ | も。ただ夜ぞひときはめでたき。さして | ||
+ | ことなる事なき夜うち更て。まいれる | ||
+ | 人の。きよげなるさましたる。いとよし。 | ||
+ | 若きどち心とどめて見る人は。時をも | ||
+ | わかぬ物なれば。ことにうちとけぬべき折 | ||
+ | 節ぞ。けはれなくひきつくろはまほし | ||
+ | き。よき男の日暮てゆするし。女も夜 | ||
+ | ふくる程にすべりつつ鏡とりて。顔など/k2-44l | ||
+ | |||
+ | http:// | ||
+ | |||
+ | つくろひて出るこそおかしけれ/k2-45r | ||
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+ | http:// | ||
text/turezure/k_tsurezure191.txt.txt · 最終更新: 2018/10/20 12:36 by Satoshi Nakagawa