text:turezure:k_tsurezure075.txt
no way to compare when less than two revisions
差分
このページの2つのバージョン間の差分を表示します。
— | text:turezure:k_tsurezure075.txt [2018/07/18 23:17] (現在) – 作成 - 外部編集 127.0.0.1 | ||
---|---|---|---|
行 1: | 行 1: | ||
+ | 徒然草 | ||
+ | ====== 第75段 つれづれわぶる人はいかなる心ならん・・・ ====== | ||
+ | |||
+ | ===== 校訂本文 ===== | ||
+ | |||
+ | つれづれわぶる人は、いかなる心ならん。まぎるるかたなく、ただ一人あるのみこそよけれ。 | ||
+ | |||
+ | 世に従へば、心、外(ほか)の塵に奪はれて惑ひやすく。人にまじはれば、言葉、よその聞きに随(したが)ひて、さながら心にあらず。人に戯(たはぶ)れ、物に争ひ、一度は恨み、一度は喜ぶ。そのこと、定れることなし。分別みだりに起りて、得失やむ時なし。惑ひの上に酔(ゑ)へり、酔(ゑ)ひの中に夢をなす。走りて急がはしく、呆(ほ)れて忘れたること、人、みなかくのごとし。 | ||
+ | |||
+ | いまだまことの道を知らずとも、縁を離れて、身を閑(しづ)かにし、事にあづからずして、心をやすくせんこそ、しばらく楽しぶとも言ひつべけれ。 | ||
+ | |||
+ | 「生活(しやうくわつ)・人事(にんじ)・伎能(ぎのう)・学問等の諸縁をやめよ」とこそ、摩訶止観にも侍れ。 | ||
+ | |||
+ | ===== 翻刻 ===== | ||
+ | |||
+ | つれづれわぶる人は。いかなる心ならん。/w1-57l | ||
+ | |||
+ | http:// | ||
+ | |||
+ | まぎるるかたなく。ただひとりあるの | ||
+ | みこそよけれ。世にしたがへは心外の塵に | ||
+ | うばはれてまどひやすく。人にまじは | ||
+ | れば言葉よその聞に随ひて。さながら | ||
+ | こころにあらず。人に戯れ物にあら | ||
+ | そひ一度はうらみ。一度はよろこぶ。其事 | ||
+ | 定れる事なし。分別みだりにおこり | ||
+ | て。得失やむ時なし。まどひの上に酔り。 | ||
+ | 酔の中に夢をなす。走りていそが | ||
+ | はしく。ほれてわすれたる事。人皆/w1-58r | ||
+ | |||
+ | かくのごとし。いまだ誠の道をしらず | ||
+ | とも。縁をはなれて身を閑にし。こと | ||
+ | にあづからずして心をやすくせんこそ。 | ||
+ | 暫たのしふともいひつべけれ。生活 | ||
+ | 人事伎能学問等の諸縁をやめよと | ||
+ | こそ。摩訶止観にも侍れ/w1-58l | ||
+ | |||
+ | http:// | ||
text/turezure/k_tsurezure075.txt.txt · 最終更新: 2018/07/18 23:17 by 127.0.0.1