text:towazu:towazu4-07
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— | text:towazu:towazu4-07 [2019/09/21 16:48] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa | ||
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+ | とはずがたり | ||
+ | ====== 巻4 7 明くれば鎌倉へ入るに極楽寺といふ寺へ参りて見れば・・・ ====== | ||
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+ | ===== 校訂本文 ===== | ||
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+ | 明くれば鎌倉へ入るに、極楽寺といふ寺へ参りて見れば、僧の振舞ひ都に違(たが)はず、なつかしく覚えて見つつ、化粧坂(けはひざか)といふ山を越えて、鎌倉の方を見れば、東山(ひんがしやま)にて京(きやう)を見るには引き違(たが)へて、階(きざはし)などのやうに、重々(ぢゆうぢゆう)に袋の中に物を入れたるやうに住まひたる。「あなものわびし」と、やうやう見えて、心とどまりぬべき心地もせず。 | ||
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+ | 由比の浜といふ所へ出でて見れば、大きなる鳥居あり。若宮の御社(やしろ)はるかに見え給へば、「『他(た)の氏よりは』とかや誓ひ給ふなるに、契りありてこそさるべき家にと生まれけめに、いかなる報いならん」と思ふほどに、まことや、父の生所(しやうじよ)を祈誓申したりし折、「今生の果報に替ゆる」と承りしかば、恨み申すにてはなけれども、袖を広げんをも歎くべからず。また、小野小町も衣通姫(そとほりひめ)が流れといへども、簣(あじか)を肘(ひぢ)にかけ、蓑を腰に巻きても、身の果てはありしかども、「わればかり物思ふ((『伊勢物語』27段「わればかり物思ふ人はまたもあらじと思へば水の下にもありけり」。ただし、小野小町とは無関係。[[towazu4-05|4-05]]にも見られる。))」とや書き置きしなど思ひ続けても、まづ御社へ参りぬ。 | ||
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+ | 所のさまは男山(をとこやま)の景色よりも海見(うみみ)遥かしたるは見所ありとも言ひぬべし。大名ども、浄衣(しやうえ)などにはあらで、色々の直垂にて参り((「参り」は底本「まいる」))出づるも、やう変はりたる。 | ||
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+ | ===== 翻刻 ===== | ||
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+ | あくれはかまくらへいるに極楽寺といふてらへまいりてみれは | ||
+ | そうのふるまひ都にたかはすなつかしくおほえてみつつけ | ||
+ | はひさかといふ山をこえてかまくらのかたをみれはひんかし山 | ||
+ | にてきやうをみるにはひきたかへてきさはしなとのやうに | ||
+ | ちうちうにふくろの中に物を入たるやうにすまひたるあな | ||
+ | 物わひしとやうやうみえて心ととまりぬへき心ちもせす | ||
+ | ゆいのはまといふ所へいててみれは大きなるとりゐあり | ||
+ | わか宮の御やしろはるかにみえ給へはたのうちよりはとかや/s171r k4-10 | ||
+ | |||
+ | ちかひ給なるにちきりありてこそさるへきいへにとむまれ | ||
+ | けめにいかなるむくひならんと思ふほとにまことやちちの生 | ||
+ | 所をきせい申たりしをりこんしやうのくわほうにかゆると | ||
+ | うけたまはりしかはうらみ申にてはなけれともそてをひろ | ||
+ | けんをもなけくへからすまたをののこまちもそとをりひめ | ||
+ | かなかれといへともあしかをひちにかけみのをこしにまき | ||
+ | ても身のはてはありしかとも我はかり物おもふとやかき | ||
+ | をきしなとおもひつつけてもまつ御やしろへまいりぬ所 | ||
+ | のさまはおとこ山のけしきよりもうみみはるかしたるは | ||
+ | 見ところありともいひぬへし大名ともしやうゑなと | ||
+ | にはあらて色々のひたたれにてまいるいつるもやうかはり/s171l k4-11 | ||
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+ | http:// | ||
+ | |||
+ | たるかくてえかう二かいたう大みたうなといふ所ともをかみつつ/s172r k4-12 | ||
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+ | http:// | ||
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text/towazu/towazu4-07.txt · 最終更新: 2019/09/21 16:48 by Satoshi Nakagawa