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text:shaseki:ko_shaseki08a-08 [2019/02/20 22:03] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:shaseki:ko_shaseki08a-08 [2019/02/20 22:04] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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和州の山里に百姓ありけり。草堂を造りて、供養の導師に、西大寺の思円房の上人を請ず。 | 和州の山里に百姓ありけり。草堂を造りて、供養の導師に、西大寺の思円房の上人を請ず。 | ||
- | 願文の廻向の言葉を聞きて、「この堂は故婆にて候ひし者のために、とかく励みて造りて候ふ。法界衆生に御廻向候へば、婆は萱(ちがや)一筋にも当りも付き候はじと思え候ふ。唯婆がためとばかりあそばされ候へ」と申すに、「功徳は廻向すれば、いよいよ大にして失することなし。聖霊の功徳、大なるべし」と細やかに教へられければ、「さては、めでたきことにて候ひけり。ただし、隣に候ふ三郎検校と申す者ばかりは、除かせ給ひ候へ」と申す。 | + | 願文の廻向の言葉を聞きて、「この堂は故婆にて候ひし者のために、とかく励みて造りて候ふ。法界衆生に御廻向候へば、婆は萱(ちがや)一筋にも当りも付き候はじと思え候ふ。ただ婆がためとばかりあそばされ候へ」と申すに、「功徳は廻向すれば、いよいよ大にして失することなし。聖霊の功徳、大なるべし」と細やかに教へられければ、「さては、めでたきことにて候ひけり。ただし、隣に候ふ三郎検校と申す者ばかりは、除かせ給ひ候へ」と申す。 |
さしたる敵(かたき)にてありけるゆゑなるべし。一切衆生の中に、ただ一人もらしけんも、けしからずこそ思ゆれ。これは、その座にありける僧の物語なり。 | さしたる敵(かたき)にてありけるゆゑなるべし。一切衆生の中に、ただ一人もらしけんも、けしからずこそ思ゆれ。これは、その座にありける僧の物語なり。 |
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