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text:shaseki:ko_shaseki04b-08 [2018/12/06 12:28] – [巻4第8話(46) 道人、執着を捨つべき事] Satoshi Nakagawatext:shaseki:ko_shaseki04b-08 [2023/09/11 23:07] (現在) Satoshi Nakagawa
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 ====== 巻4第8話(36) 道人、執着を捨つべき事 ====== ====== 巻4第8話(36) 道人、執着を捨つべき事 ======
  
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 小原の僧正、顕真座主、四十八日の間、往生要集の談義し給ふことありけり。法然房の上人((源空))、俊乗房の上人((重源))なんど、談義の衆にて、小原の上人たち、あまた座につらなり、如法の後世の学問の談議なりけり。 小原の僧正、顕真座主、四十八日の間、往生要集の談義し給ふことありけり。法然房の上人((源空))、俊乗房の上人((重源))なんど、談義の衆にて、小原の上人たち、あまた座につらなり、如法の後世の学問の談議なりけり。
  
-四十八日功終へて、人々退散しけるに、法然房・俊乗房両上人ばかり、はし近く居て、法然房、申されけるは、「このほどの談議の所詮、いかか御心得候ふ」と、俊乗房に申されければ、「秦太瓶(じんだがめ)一つなりとも、執心とまらん物は捨つべしとこそ心得て候へ」と語らる。+四十八日功終へて、人々退散しけるに、法然房・俊乗房両上人ばかり、はし近く居て、法然房、申されけるは、「このほどの談議の所詮、いかか御心得候ふ」と、俊乗房に申されければ、「秦太瓶(じんだがめ)((糂粏瓶。糠味噌を入れる瓶。))一つなりとも、執心とまらん物は捨つべしとこそ心得て候へ」と語らる。
  
 僧正、御簾の内にて聞き給ひて、「上人たち何事を語り給ふぞ」と仰せられければ、「俊乗房、かくこそ申し候へ」と、法然房、申されければ、御衣の袖に御涙をはらはらとこぼして、「これほどの談議に、これほどにめづらしきこと承はらず」とて、随喜し給ひけるよし、ある人語り侍りき。 僧正、御簾の内にて聞き給ひて、「上人たち何事を語り給ふぞ」と仰せられければ、「俊乗房、かくこそ申し候へ」と、法然房、申されければ、御衣の袖に御涙をはらはらとこぼして、「これほどの談議に、これほどにめづらしきこと承はらず」とて、随喜し給ひけるよし、ある人語り侍りき。
text/shaseki/ko_shaseki04b-08.1544066912.txt.gz · 最終更新: 2018/12/06 12:28 by Satoshi Nakagawa