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text:sesuisho:n_sesuisho7-069

醒睡笑 巻7 謡

11 杜若の謡に三河の国に着きにけりとあるは作りそこなひやと言うて・・・

校訂本文

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杜若(かきつばた)1)の謡に、「『三河の国に着きにけり』とあるは、作りそこなひや」と言うて笑ふ者あり。「何と言ふがよいぞ」。「『膠(にかは)の国につけにけり』が本であるぞ」と。

雄長老

 水でとくにかはのあやめ杜若にたりやにたとにためきぞする

 名にしおふその八橋を来て見れば田(た)ばかりありてかきつばはなし

 やせにけりこの花の名やかきつばた  長瀬2)

 のまんとすれば夏の沢水  宗長

 蛇(くちなは)に追はれて3)いづちかいるらん4)  宗鑑5)

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翻刻

一 杜若の謡に三河の国に着(つき)にけりとある
  は作りそこなひやといふてわらふ者あり
  何といふがよいぞにかはの国につけにけりか
  本であるそと  雄長老
   水でとくにかはのあやめ杜若
    にたりやにたとにためきそする/n7-38r
   名にしおふその八橋をきてみれは
    田はかりありてかきつははなし
   やせにけり此花の名やかきつはた 長〓
   のまんとすれはなつの  沢水  宗長
   くちなはにをはれたいつちかいるらん/n7-38l
1)
謡曲「杜若」
2)
底本「瀬」に当る字判読不明。諸本により訂正。
3)
「追はれて」は底本「追はれた」。諸本により訂正。
4)
いづちか入る・いづち蛙
5)
山崎宗鑑
text/sesuisho/n_sesuisho7-069.txt · 最終更新: 2022/08/15 16:45 by Satoshi Nakagawa