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text:sesuisho:n_sesuisho6-074

醒睡笑 巻6 恋のみち

5 貧なる僧のうちほれて知音する若衆に大名の執心せられ・・・

校訂本文

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貧なる僧の、うちほれて知音(ちいん)する若衆に、大名の執心(しふしん)せられ、定家1)の色紙を出だされたれば、坊主も負けじと思ひ、弘法大師2)の筆といふなる心経をやりぬ。重ねて大名より、刀・脇差を金(こがね)づくりにして送られし3)を見て、坊主の詠める、

  何事も人に負けじと思へども金刀(こがねがたな)に手をぞつきける

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一 貧なる僧の打ほれて知音する若衆に大
  名の執心せられ定家の色紙を出された
  れは坊主もまけしとおもひ弘法大師の筆
  といふなる心経をやりぬ重て大名より刀脇
  指を金つくりにして送たれしを見て坊主のよめる
   何事も人にまけしと思へとも
   金刀に手をそつきける/n6-37r
1)
藤原定家
2)
空海
3)
「送られし」は底本「送たれし」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho6-074.txt · 最終更新: 2022/05/12 17:02 by Satoshi Nakagawa