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text:sesuisho:n_sesuisho3-064

醒睡笑 巻3 不文字

45 夏の振舞に燗をしたる酒と冷酒と出だし・・・

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夏の振舞に燗(かん)をしたる酒と冷酒と出だし、「いづれをなりとも」と酌(しやく)する者言ひけり。座上になほりゐたる宿老(しゆくらう)言はれけるやう、「今時こそ酒を自然(しぜん)冷(ひや)にて飲む人あれ。昔は大名小名おしなべ、燗をして飲まぬはなかりし」と、まことらしく言ひて受けられけるを、下座より、「何ぞ書物に候ふや」と尋ぬれば、「なかなかのこと。静(しづか)の舞1)に、臣も2)君も、この舞をかんせぬ3)人はなかりけり」。

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一 夏の振舞にかんをしたる酒と冷酒と出し
  いつれをなりともと酌(しやく)するものいひけり座上
  になをりゐたる宿老いはれけるやう今時
  こそ酒を自然(しせん)冷(ひや)にて呑(のむ)人あれ昔は大名小名/n3-28r
  をしなへ間をして呑ぬはなかりしとまこと
  らしくいひてうけられけるを下座よりな
  むぞ書物に候やと尋ぬれは中々の事静(しづか)
  の舞(まい)につも君も此舞をかんせぬ人はなか
  りけり/n3-28l
1)
舞の本「静」
2)
「臣も」は底本「つも」。諸本により訂正。
3)
燗せぬ・感ぜぬ
text/sesuisho/n_sesuisho3-064.txt · 最終更新: 2021/10/17 12:59 by Satoshi Nakagawa