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text:sesuisho:n_sesuisho1-022 [2021/04/04 18:18] – 作成 Satoshi Nakagawatext:sesuisho:n_sesuisho1-022 [2022/06/03 14:58] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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 目の上に大きなる瘤を持ちたる禅門ありき。修行に出でしが、ある山中に行き暮れて宿なし。古き辻堂(つじだう)に泊まれり。夜すでに三更に及ぶ。人音(ひとおと)あまたして、かの堂に来たり酒宴をなす。禅門、恐しく思ひながら、せんかたなければ、心浮きたる顔し、円座(ゑんざ)を尻につけ立ちて踊れり。 目の上に大きなる瘤を持ちたる禅門ありき。修行に出でしが、ある山中に行き暮れて宿なし。古き辻堂(つじだう)に泊まれり。夜すでに三更に及ぶ。人音(ひとおと)あまたして、かの堂に来たり酒宴をなす。禅門、恐しく思ひながら、せんかたなければ、心浮きたる顔し、円座(ゑんざ)を尻につけ立ちて踊れり。
  
-明方になり、天狗も帰らんとする時言ふ。「禅門、浮き蔵主(ざうす)にて、よき((「よき」は底本「まき」。諸本により訂正。))伽(とぎ)なり。今度も必ず来たれ」と。「約束ばかりは偽りあらん。ただ質にしくはあらじ」とて、目の上の瘤を取りてぞ行きける。+明方になり、天狗も帰らんとする時言ふ。「禅門、浮き蔵主(ざうす)にて、よき((「よき」は底本「まき」。諸本により訂正。))伽(とぎ)なり。今度も必ず来たれ」と。「約束ばかりは偽りあらん。ただ質にしくはあらじ」とて、目の上の瘤を取りてぞ行きける。
  
 禅門、宝をまうけたる心地し、故郷に帰る。見る人感じ、親類歓喜すること量りなし。 禅門、宝をまうけたる心地し、故郷に帰る。見る人感じ、親類歓喜すること量りなし。
text/sesuisho/n_sesuisho1-022.txt · 最終更新: 2022/06/03 14:58 by Satoshi Nakagawa