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text:sesuisho:n_sesuisho0-001

醒睡笑

醒睡笑序

校訂本文

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ころはいつ、元和九癸亥(みづのとのゐ)の稔(とし)、天下泰平(てんかたいへい)人民豊楽(にんみんほうらく)の折から、策伝某(さくでんそれがし)、小僧の時より耳にふれて面白くをかしかりつることを、反故(ほうぐ)の端(はし)にとめ置きたり。是年(ぜねん)七十にて、誓願寺乾のすみに隠居し、安楽庵といふ柴の扉(とぼそ)の明暮れ、心を休むるひまひま、来し方記せし1)筆の跡を見れば、おのづから睡りを覚まして笑ふ。さるままにや、是を醒睡笑(せいすゐせう)と名付け、かたはらいたき草紙を八巻(くわん)となして残すのみ。

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翻刻

ころはいつ元和(けんわ)九癸亥(みつのとのい)の稔(とし)天下泰平(たいへい)
人民豊楽(にんみんほうらく)の折(をり)から策伝(さくてんそれかし)某小僧(こそう)の時より
耳にふれておもしろくおかしかりつる事を
反故(ほうく)の端(はし)にとめ置(をき)たり是年(せねん)七十にて
誓願寺(せいくわんし)乾(いぬい)のすみに隠居(いんきよ)し安楽庵(あんらくあん)と
いふ柴(しは)の扉(とほそ)の明暮(あけくれ)心をやすむるひま
ひまこしかたしらせし筆(ふて)の跡(あと)をみれはをの
つから睡(ねふり)をさましてわらふさるままにや是を醒(せい)
睡笑(すいせう)と名付(なつけ)かたはらいたき草紙(そうし)を八巻(くわん)となし/n1-3l
て残すのみ/n1-4r
1)
「記せし」は底本「しらせし」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho0-001.txt · 最終更新: 2021/03/30 17:25 by Satoshi Nakagawa