text:senjusho:m_senjusho04-08
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text:senjusho:m_senjusho04-08 [2016/06/11 22:50] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | text:senjusho:m_senjusho04-08 [2016/06/11 22:54] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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げに心憂きことかな。わが身の参らぬまでも、「昔、御法説かせ給ひし所々の仏法も、盛りに侍る」と聞くものならば、頼もしく侍るべきを、鷲の御山もあせ、白鷺池も草茂り侍るらん、いとど悲しく思え侍り。 | げに心憂きことかな。わが身の参らぬまでも、「昔、御法説かせ給ひし所々の仏法も、盛りに侍る」と聞くものならば、頼もしく侍るべきを、鷲の御山もあせ、白鷺池も草茂り侍るらん、いとど悲しく思え侍り。 | ||
- | 昔、玄奘三蔵の渡天し給ひて、あまねく百三十ヶ国経めぐらせ給へりけるに、大乗流布の国は、わづかに十五ヶ国とこそ承はり侍り。それだに、今に失せにけん。悲しさやるかたなく侍る。人の心の、浮雲に空隠れする月とこそ、常在霊鷲山の心をば歌にも詠みたれ。げに隠れ果て給へるかとよ。今さだ悲しく侍る。 | + | 昔、玄奘三蔵の渡天し給ひて、あまねく百三十ヶ国経めぐらせ給へりけるに、大乗流布の国は、わづかに十五ヶ国とこそ承はり侍り。それだに、今に失せにけん。悲しさやるかたなく侍る。人の心の、浮雲に空隠れする月とこそ、常在霊鷲山の心をば歌にも詠みたれ。げに隠れ果て給へるかとよ。今さら悲しく侍る。 |
されば、日を経て仏法は無くこそならめ。法灯の風にほのめきて、わづかにかかげる時、いかにも、生死を浮き出づるはかりごとを、めぐらし給ふべきにや侍らむ。 | されば、日を経て仏法は無くこそならめ。法灯の風にほのめきて、わづかにかかげる時、いかにも、生死を浮き出づるはかりごとを、めぐらし給ふべきにや侍らむ。 |
text/senjusho/m_senjusho04-08.1465653032.txt.gz · 最終更新: 2016/06/11 22:50 by Satoshi Nakagawa