text:mumyosho:u_mumyosho053
差分
このページの2つのバージョン間の差分を表示します。
text:mumyosho:u_mumyosho053 [2014/10/01 16:34] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:mumyosho:u_mumyosho053 [2014/10/02 21:04] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
---|---|---|---|
行 6: | 行 6: | ||
** 範兼家会優なる事 ** | ** 範兼家会優なる事 ** | ||
- | 俊恵いはく、「和歌会の有様(ありさま)の、げにげにしく優に思えし事は、次の所にとりては、近くは範兼卿の家の会のやうなることはなし。亭主のさる人にて、いみじうもてなして、ことに触れつつ、れうじならず。人に恥ぢ道を執して、讃(ほ)むべきをば感じ、謗(そし)るべきをば難じ、ことごとにはえ((「はえ」は、底本「ゑ」。諸本により訂正))ありて、乱れがはしきことゆめにもなかりしかば、さし入る人も皆その趣(おもむき)に従ひて、『いかでよろしく詠み出でん』と思へりき。されば、よき歌も出で来、はかなく珍しき一節(ひとふし)を思ひ寄れるにつけても、かひがひしき心地して、いさましくなんありし。兼日の会には、皆歌を懐中して、当日の儀いたづらに程を経ることなし。もし当座に会あれば、おのおの所々(ところどころ)にさし退きつつ、沈思しあひたるさまなどまえも、艶(えん)にあらまほしく侍りしかば、させることなき歌も、ことがらに飾られて((「飾られて」は、底本「あさられて」。諸本により訂正。))艶((「艶」は底本「念」。諸本により訂正。))に聞こえ侍りき」。 | + | 俊恵いはく、「和歌会の有様(ありさま)の、げにげにしく優に思えし事は、次の所にとりては、近くは範兼卿の家の会のやうなることはなし。亭主のさる人にて、いみじうもてなして、ことに触れつつ、れうじならず。人に恥ぢ道を執して、讃(ほ)むべきをば感じ、謗(そし)るべきをば難じ、ことごとにはえ((「はえ」は、底本「ゑ」。諸本により訂正))ありて、乱れがはしきことゆめにもなかりしかば、さし入る人も皆その趣(おもむき)に従ひて、『いかでよろしく詠み出でん』と思へりき。されば、よき歌も出で来、はかなく珍しき一節(ひとふし)を思ひ寄れるにつけても、かひがひしき心地して、いさましくなんありし。兼日の会には、皆歌を懐中して、当日の儀いたづらに程を経ることなし。もし当座に会あれば、おのおの所々(ところどころ)にさし退きつつ、沈思しあひたるさまなどまえも、艶(えん)にあらまほしく侍りしかば、させることなき歌も、ことがらに飾られて((「飾られて」は、底本「あさられて」。諸本により訂正。))艶((「艶」は底本「念」。諸本により訂正。))に聞こえ侍りき。(([[u_mumyosho054]]に続く。)) |
===== 翻刻 ===== | ===== 翻刻 ===== |
text/mumyosho/u_mumyosho053.1412148847.txt.gz · 最終更新: 2014/10/01 16:34 by Satoshi Nakagawa