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text:mumyosho:u_mumyosho023

無名抄

第23話 関明神

校訂本文

関明神

逢坂の関の明神と申すは、昔の蝉丸(せみまろ)なり。かの藁屋の跡を失なはずして、そこに神となりて住み給ふなるべし。

今もうち過ぐるに、たよりに見れば、昔、深草の御門1)の御使にて、和琴習ひに良峯宗貞(よしみねのむねさだ)2)、良少将とて、通はれけむほどの事まで面影に浮かびて、いみじくこそ侍れ。

翻刻

関明神
あふさかのせきの明神と申はむかしのせみまろ也
かのわらやのあとをうしなはすしてそこに神と/e23l
なりてすみ給なるへし今もうちすくるにたよ
りにみれはむかしふかくさの御門の御使にて
和琴ならひによしみねのむねさた良少将とて
かよはれけむほとのことまておもかけにうかひて
いみしくこそ侍れ/e24r
1)
仁明天皇
2)
僧正遍昭・遍照
text/mumyosho/u_mumyosho023.txt · 最終更新: 2017/09/19 18:41 by Satoshi Nakagawa