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text:mumyosho:u_mumyosho016 [2014/09/13 01:59] – 作成 Satoshi Nakagawatext:mumyosho:u_mumyosho016 [2014/09/13 18:14] (現在) – [第16話 ますほのすすき] Satoshi Nakagawa
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 +無名抄
 ====== 第16話 ますほのすすき ====== ====== 第16話 ますほのすすき ======
  
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 登蓮法師、その中にありて、この事を聞きて、言葉少なになりて、また問ふこともなく、主(あるじ)に、「蓑笠しばし貸し給へ」と言ひければ、「あやし」と思ひながら取り出でたりけり。物語をも聞きさして、蓑うち着、藁沓(わらぐつ)さし履きて、急ぎ出でけるを、人々、あやしがりて、その故(ゆゑ)を問ふ。 登蓮法師、その中にありて、この事を聞きて、言葉少なになりて、また問ふこともなく、主(あるじ)に、「蓑笠しばし貸し給へ」と言ひければ、「あやし」と思ひながら取り出でたりけり。物語をも聞きさして、蓑うち着、藁沓(わらぐつ)さし履きて、急ぎ出でけるを、人々、あやしがりて、その故(ゆゑ)を問ふ。
  
-「渡辺へまかるなり。年来(としごろ)いぶかしく思ひ給へし事を、『知れる人あり』と聞きて、いかでか尋ねにまからざらむ」と言ふ。驚きながら、「さるにても、雨やめて、出で給へ」と諫(いさめ)めけれど、「いで、はかなき事をも、のたまふかな。命は我も人も雨の晴れ間など待つべき事かは。何事も、今静かに」とばかり言ひ捨てて往にけり。いみじかりけるすきものなりかし。さて、本意(ほい)のごとく尋ね合ひて、問ひ聞きて、いみじう秘蔵(ひさう)しけり。+「渡辺へまかるなり。年来(としごろ)いぶかしく思ひ給へし事を、『知れる人あり』と聞きて、いかでか尋ねにまからざらむ」と言ふ。驚きながら、「さるにても、雨やめて、出で給へ」と諫(いさめ)めけれど、「いで、はかなき事をも、のたまふかな。命は我も人も雨の晴れ間など待つべき事かは。何事も、今静かに」とばかり言ひ捨てて往にけり。いみじかりける数奇者なりかし。さて、本意(ほい)のごとく尋ね合ひて、問ひ聞きて、いみじう秘蔵(ひさう)しけり。
  
 この事、第三代の弟子にて伝へ習ひて侍り。この薄、同じさまにて、あまた侍り。「ますほのすすき」・「まそをのすすき」・「まそうのすすき」とて、三種(みくさ)侍るなり。 この事、第三代の弟子にて伝へ習ひて侍り。この薄、同じさまにて、あまた侍り。「ますほのすすき」・「まそをのすすき」・「まそうのすすき」とて、三種(みくさ)侍るなり。
text/mumyosho/u_mumyosho016.1410541151.txt.gz · 最終更新: 2014/09/13 01:59 by Satoshi Nakagawa