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text:mumyosho:u_mumyosho010 [2021/09/09 00:59] – [校訂本文] Satoshi Nakagawatext:mumyosho:u_mumyosho010 [2021/09/09 23:03] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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 ** このもかのもの論 ** ** このもかのもの論 **
  
-二条院((二条天皇))、和歌好ませおはしましけるとき、岡崎の三位((藤原俊成))、御侍読(じとく)にて候はれけるに、この道の聞こえ高きによりて、清輔朝臣((藤原清輔))と召されて殿上に候ひけり。+二条院((二条天皇))、和歌好ませおはしましけるとき、岡崎の三位((藤原範兼))、御侍読(じとく)にて候はれけるに、この道の聞こえ高きによりて、清輔朝臣((藤原清輔))と召されて殿上に候ひけり。
  
 いみじき面目なりけるを、ある時の御会に、清輔、いづれの山とか、「このもかのも((この面かの面))」といふことを詠まれたりければ、三位、これを難じていはく、「筑波山にこそ『このもかのも』とは詠め。大方、山ごとにいふべきことにはあらず」と難ぜられければ、清輔、申していはく、「筑波山までは申すべきならず。河などにも詠み侍るべきにこそ」とつぶやきければ、三位、嘲笑ひて、「証歌を奉れ」と申されけるに、清輔のいはく、「大井川の会に、躬恒((凡河内躬恒))が序書けるとき、『大井川のこのもかのも』と書けること、まさしく侍るものを」と言ひ出でたりければ、諸人、口を閉じて止みにけり。 いみじき面目なりけるを、ある時の御会に、清輔、いづれの山とか、「このもかのも((この面かの面))」といふことを詠まれたりければ、三位、これを難じていはく、「筑波山にこそ『このもかのも』とは詠め。大方、山ごとにいふべきことにはあらず」と難ぜられければ、清輔、申していはく、「筑波山までは申すべきならず。河などにも詠み侍るべきにこそ」とつぶやきければ、三位、嘲笑ひて、「証歌を奉れ」と申されけるに、清輔のいはく、「大井川の会に、躬恒((凡河内躬恒))が序書けるとき、『大井川のこのもかのも』と書けること、まさしく侍るものを」と言ひ出でたりければ、諸人、口を閉じて止みにけり。
  
-荒涼に物をば難ずまじきことなり。((底本、次の行に「いしかはや・・・」の歌があるが、次の[[u_mumyosho011.txt]]の和歌である。))+荒涼に物をば難ずまじきことなり。((底本、次の行に「いしかはや・・・」の歌があるが、次の[[u_mumyosho011]]の和歌である。))
  
  
text/mumyosho/u_mumyosho010.1631116755.txt.gz · 最終更新: 2021/09/09 00:59 by Satoshi Nakagawa