text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka12-09
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蒙求和歌
第12第9話(179) 伯牙絶絃
校訂本文
伯牙絶絃
伯牙、琴をよく弾きけり。これを知る者は鍾子期一人ぞありける。
伯牙1)、山の曲を弾く時、鍾子期かいはく、「峨々たること大山のごとし」。心ざし流水にあり、伯牙、水曲を弾く時は、鍾子期がいはく、「洋々たること江河のごとし」と言へり。
鍾子期死後、伯牙、絃を断ちて、琴を弾かずなりぬ。知音の永く絶えたることを、痛みけるゆゑなり。
いかにせむ昔の友も琴の緒もかき絶えにける心細さを
翻刻
伯牙絶絃 〃〃琴をよくひきけりこれをしるも/のは鍾子期ひとりそありける白牙 山の曲をひく時鍾子期か云く峩々たること大山のことし心 さし流水にあり伯牙水曲をひく時は鍾子期か云く洋々 たること江河のことしと云へり鍾子期死後伯牙絃を たちて琴をひかすなりぬ知音のなかくたへたる事をいたみけるゆえなり いかにせむむかしのとももことのをも かきたへにける心ほそさを/d2-31r
1)
底本ここのみ「白牙」。他に表記を合わせた。
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka12-09.1519992897.txt.gz · 最終更新: 2018/03/02 21:14 by Satoshi Nakagawa