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text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka10-19

蒙求和歌

第10第19話(149) 子罕辞宝

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子罕辞宝

宋人、一つの玉(たま)を得(う)。子罕1)に与へたり。

子罕、受けずしていはく、「われ、なんぢが玉を取らば、なんぢが宝も失せなむ。わが、人の物むさぼらぬを宝とせし心も、むなしくなりなば、なんぢも、われも、宝失せたるがごとし」と言ひて、玉を返してけり。

  寄せくれば波にかへして伊勢の海の清きなぎさ2)に玉もとまらず

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子罕辞宝 宋人ヒトツノ玉ヲウ子罕ニアタヘ/タリ子罕ウケスシテ云クワレ
ナムチカタマヲトラハナムチカタカラモウセナムワカ人ノモノムサ
ホラヌヲタカラトセシ心モムナシクナリナハナムチモワレ
モタカラウセタルカコトシト云テ玉ヲカヘシテケリ
  ヨセクレハナミニカヘシテイセノウミノキヨキナキナニタマモトマラス/d2-18r
1)
楽喜。
2)
「なぎさ」は底本「ナキナ」。書陵部本により訂正。
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka10-19.txt · 最終更新: 2018/02/09 23:55 by Satoshi Nakagawa