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蒙求和歌
第10第16話(146) 季布一諾
校訂本文
季布一諾
季布は楚人なり。一言の信を変ずる心なかりき。
そのかみ、漢祖1)を窘(たしなま)しめけり。漢祖、天下を取りて、恨みを残しけれども、季布、「へつらひ従はじ」と言ひて、朱家に属して、隠れ居にけり。
後に思ひゆるして、郎と為して、はなはだ重くせられけり。
時の人の諺(ことはざ)にいはく、「黄金百鎰(いつ)を得るよりは、季布一諾にはしかず」と言へり。
たのもしな移ろふ世々に移ろはぬ同じときはの松の心は
翻刻
季布一諾 季布は楚人也一言の信を変する心なか/りきそのかみ窘(たしなましめけり)漢祖を漢祖天下を とりてうらみをのこしけれとも季布へつらひしたかはしと云て 属して朱家にかくれゐにけり後に思ゆるして為して郎とはなはたを もくせられけり時の人のことはさに云く得よりは黄金百鎰(いつを)不 如季布一諾にはと云り たのもしなうつろうよよにうつろはぬをなし ときはのまつの心は/d2-17r
1)
劉邦
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka10-16.1518081131.txt.gz · 最終更新: 2018/02/08 18:12 by Satoshi Nakagawa