ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka07-07

文書の過去の版を表示しています。


蒙求和歌

第7第7話(107) 広徳従橋

校訂本文

広徳従橋

後漢の御史大夫薛広徳、字(あざな)は長卿といふ。おほやけ、「廟を祀らむ」とて、出で給ふに、その道、風波険しきわたりを、船に乗り給ふに、広徳、「橋より渡り給へ」と、しきりに申し行ふを、王、用ゐ給はず。

時に、光禄大夫張孟といふ人、申していはく、「君、聖なれば、臣、直(なほ)し。船に乗りては危く、橋に従ひては安し。広徳が申すに従ひ給ぶべし」と言へり。

ことはりを思ひ知りて、橋より渡り給へりけり。

  波荒き浜名の海を1)あやぶみし心のはしの浅からぬかな

翻刻

広徳従(シヨウ)橋/d1-52r
後漢ノ御史大夫薩広徳アサナハ長卿ト云ヲホヤケ廟ヲ
マツラムトテイテタマフニソノミチ風波ケハシキワタリヲ船ニノ
リ給ニ広徳橋ヨリワタリタマエトシキリニ申ヲコナフヲ王モ
チヰタマハス時光禄大夫張孟ト云人申テ云君聖ナ
レハ臣ナヲシフネニノリテハアヤウクハシニシタカヒテハヤスシ
広徳カ申スニシタカイタウヘシト云ヘリコトハリヲ思シリテ
ハシヨリワタリタマヘリケリ
  ナミアラキハナナノウミヲアヤフミシ心ノハシノアサカラヌカナ/d1-52l
1)
「浜名の海」は底本「ハナナノウミ」。書陵部本(桂宮本)により訂正。
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka07-07.1515297988.txt.gz · 最終更新: 2018/01/07 13:06 by Satoshi Nakagawa