ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka05-11

差分

この文書の現在のバージョンと選択したバージョンの差分を表示します。

この比較画面にリンクする

text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka05-11 [2017/12/02 15:58] (現在)
Satoshi Nakagawa 作成
ライン 1: ライン 1:
 +蒙求和歌
 +====== 第5第11話(81) 班女辞輦 ======
 +
 +===== 校訂本文 =====
 +
 +** 班女辞輦 **
 +
 +班女は孝成帝の婕妤(せうよ)((倢伃とも。「婕」は底本「女へんに庚」以下同じ。))なり。女なれども賢才通弁なりければ、おほやけ、ことに御心ざし深かりけり。
 +
 +昔、同じ輦に乗せられけるを、恐れ申していはく、「いにしへの図画を見るに、賢聖の君には、名臣傍らにあり。見るところ恥かしかるべし。三代の末に女嬖((「嬖」は底本「躄」。書陵部本(桂宮本)により訂正。))ありき。その例(ためし)にならじと思へり」と申しければ、帝もいよいよ心のかしこきことを讃め給ひけり。
 +
 +時の后(きさき)も、所置けることを喜びて、「いにしへは樊姫ありき。今は婕妤あり」とぞ讃められける。
 +
 +後に、趙の飛燕((趙飛燕。[[ndl_mogyuwaka05-10|5-10]]参照))、婕妤に讒言して、申していはく、「婕妤、邪をさしはさみ呪咀す」と申せり。おほやけ、問ひ給ふに、申していはく、「妾聞く、死生、命に有り。富貴、天に在り。正を修する、なほいまだ福を蒙らず。邪を為して、何をか望まむか。且、鬼神、知ること有らば、不臣の訴(うたへ)を受(う)けじ。如もしそれ知ることなくは、訴ふるとも何の益かあらむ」と申すを、おほやけ、このことをよみして、あはれみ讃め給ひき。金百斤を賜ひけり。
 +
 +  先立ちし道のためしを引くからに後の車も乗り遅れにき
 +
 +===== 翻刻 =====
 +
 +  班女辞輦
 +  班女ハ孝(カウ)成(セイ)帝ノ婕(セウ)妤(ヨ)也女(ヲンナ)ナレトモ賢(ケム)才(サイ)通(トウ)弁(ヘム)ナリ
 +  ケレハヲホヤケコトニ御ココロサシフカカリケリムカシ同(ヲナシ)輦(レムニ)ノセラレ
 +  ケルヲヲソレ申テ云クイニシヘノ啚(ト)画(クワイ)ヲミルニ賢聖ノ君ニハ名(メイ)
 +  臣カタハラニアリミルトコロハツカシカルヘシ三代ノスヱニ女(チヨ)躄(フイ)
 +  アリキソノタメシニナラシト思ヘリト申ケレハ帝モイヨイヨココロノ
 +  カシコキコトヲホメタマヒケリ時ノキサキモトコロヲケルコトヲ
 +  ヨロコヒテイニシヘハ樊(ハム)姫(キ)アリキ今ハ婕妤アリトソホメラレ
 +  ケル後ニ趙ノ飛鷰婕妤讒言申テ云ク婕妤邪ヲサシハサ
 +  ミ呪咀スト申セリヲホヤケ問ヒ給ニ申テ云ク妾(シュ)キク死生有リ
 +  命ニ冨貴在天ニ修スル正ヲ尚未蒙福ヲ為シ邪ヲ歟何ヲカ望マムト
 +  且鬼神有ラハ知コト不(シ)受(ウケ)不臣之訴(ウタヘヲ)如(モシ)其(ソレ)無ハ知コト訴トモ之何(ナノ)
 +  益カアラムト申スヲヲホヤケコノコトヲヨミシテアハレミホメ給キ金
 +  百斤ヲタマヒケリ/d1-40l
 +
 +    サキタテシミチノタメシヲヒクカラニノチノクルマモノリヲクレニキ/d1-41r
  


text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka05-11.txt · 最終更新: 2017/12/02 15:58 by Satoshi Nakagawa