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text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka05-08 [2017/11/28 00:05] – 作成 Satoshi Nakagawatext:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka05-08 [2017/11/28 00:09] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
行 8: 行 8:
 漢の盧充は范陽人なり。城西三十里に((「城西三十里に」は底本「城西三十里小」。尓を字母とする「に」の誤写か。書陵部本により訂正。))崔少府((底本「崔小府」。諸本により訂正))が墓あり。 漢の盧充は范陽人なり。城西三十里に((「城西三十里に」は底本「城西三十里小」。尓を字母とする「に」の誤写か。書陵部本により訂正。))崔少府((底本「崔小府」。諸本により訂正))が墓あり。
  
-盧充、行きて狩りしけるに、一つの麞を追ひて、朱門の官舎に至りぬ。人、盧充を呼び入れていはく、「なんぢか亡父、われに書を送りて、『わがおと女(むすめ)を汝に合はせよ』と書けり」と云ひて書をおこせしむるに、まことに、わが亡父の筆なりけり。+盧充、行きて狩りしけるに、一つの麞を追ひて、朱門の官舎に至りぬ。人、盧充を呼び入れていはく、「なんぢか亡父、われに書を送りて、『わが女(おとむすめ)を汝に合はせよ』と書けり」と云ひて書をおこせしむるに、まことに、わが亡父の筆なりけり。
  
 すなはち、東の廊に((「東の廊に」は底本「東ヲ郎ニ」。諸本により訂正。))盧充を入れて、女(むすめ)崔氏を合はせてけり。うちつきに思はしくなりにけり。 すなはち、東の廊に((「東の廊に」は底本「東ヲ郎ニ」。諸本により訂正。))盧充を入れて、女(むすめ)崔氏を合はせてけり。うちつきに思はしくなりにけり。
行 18: 行 18:
 盧充、後に車に乗りて、市に出でて、金椀を偽り売らせて、見知れる人をうかがはしむるに、一人の賤しき女、これを見て走り帰りぬ。すなはち、主(あるじ)と思しき女を具して来たれり。主、この金椀を見て、伝へたりし起りを驚き問ふ。 盧充、後に車に乗りて、市に出でて、金椀を偽り売らせて、見知れる人をうかがはしむるに、一人の賤しき女、これを見て走り帰りぬ。すなはち、主(あるじ)と思しき女を具して来たれり。主、この金椀を見て、伝へたりし起りを驚き問ふ。
  
-重ねていはく、「崔府か女(むすめ)ありき。われは、そのをばなり((「をばなり」は底本「ヲハリナリ」。諸本により訂正。))。いまだ嫁がずして、命終りにしを、親・兄弟(はらから)、惜しみ痛みき。一つの金椀を棺に入れたることありき。すなはち、この金椀なり」。+重ねていはく、「崔府か女(むすめ)ありき。われは、そのをばなり((「をばなり」は底本「ヲハリナリ」。諸本により訂正。))。いまだ嫁がずして、命終りにしを、親・兄弟(はらから)、惜しみ痛みき。一つの金椀を棺に入れたることありき。すなはち、この金椀なり」。
  
 また言ふ、盧充が家に来て、なほ強ひ問ふに、始めよりのことを語り聞かせて、児を出だして見せしむるに、この児、崔氏の形なり。たがふ所なし。あはれに悲しく思へり。他界より来たり嫁ぎけることを悟り知りぬ。 また言ふ、盧充が家に来て、なほ強ひ問ふに、始めよりのことを語り聞かせて、児を出だして見せしむるに、この児、崔氏の形なり。たがふ所なし。あはれに悲しく思へり。他界より来たり嫁ぎけることを悟り知りぬ。
  
-またいはく、崔府がこと、いまだ詳(つばひ)らかならず。崔子玉がこととも言へり。覚束無し。+またいはく、崔府がこと、いまだ詳(つばひ)らかならず。崔子玉がこととも言へり。覚束無し。
  
   浅からぬ契りはさてもありす川同じ世にだに住まぬ身なれど   浅からぬ契りはさてもありす川同じ世にだに住まぬ身なれど
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka05-08.1511795131.txt.gz · 最終更新: 2017/11/28 00:05 by Satoshi Nakagawa