Recent changes RSS feed

蒙求和歌

第4第7話(62) 趙勝謝躄 寒蘆

校訂本文

趙勝謝躄 寒蘆

平原君、字は趙勝、高楼に登りて人家を見るに、躄者(あしなへびと)、盤珊(ばんさん)とよろぼひ行きて、水を汲みけるを、楼上の美人、声高(こゑたか)に笑ひけり。

あくる日、躄者、よろぼひ来たりて、水を汲みて、門に至りて、美人の頭(かうべ)を乞ふに、笑ひて、「与へむ」と言ふ。後にまた来て責むれども用ゐず。

時に、門客、ことごとくに去り退(しりぞ)きにけり。そのゆゑを問ふに、「君は色を愛して、人をいやしうす。このゆゑに去り退くなり」と言へり。心ざし深き女なれば、「いたはしく、かなし」と思へども、門客の憤りに堪へずして、美人の頭を切りて、躄者の門(かど)にかけて、これを謝しけり。

その後、門客、帰り来たりにけり。

  難波江(なにはえ)のあしの下折れとにかくによしなきあまの口すさびかな

翻刻

趙勝謝躄(シヤヘキ) 寒蘆
平原君アサナハ趙勝高楼ニノホリテ人家ヲミルニ躄者(アシナヘヒト)/d1-31r
盤(ハム/ハタカマリ)珊(サムト/ヨロホウ)ヨロホヒユキテ水ヲクミケルヲ楼上ノ美人コエタカニ
ワラヒケリアクル日躄者ヨロホヒキタリテ水ヲクミテ門ニ
イタリテ美人ノカウヘヲコフニハラヒテアタエムトイフ後ニ又
来テセムレトモモチイス時ニ門客コトコトクニサリシリソキニケリソ
ノユエヲトフニ君ハイロヲアヒシテ人ヲイヤシフスコノユヘニ
サリシリソクナリトイヘリ心サシフカキ女ナレハイタハシ
クカナシトヲモヘトモ門客ノイキトヲリニタエスシテ美
人ノカウヘヲキリテ躄者ノカトニカケテ謝(シケリ)之ヲソノノチ
門客カヘリ来リニケリ
  ナニハエノアシノシタヲレトニカクニヨシナキアマノクチスサヒカナ/d1-31l
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka04-07.txt · 最終更新: 2017/11/15 20:56 by Satoshi Nakagawa
CC Attribution-Share Alike 4.0 International
Recent changes RSS feed Driven by DokuWiki

yatanavi.org ©2004-2018 Satoshi Nakagawa