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蒙求和歌
第1第9話(9) 戴封積薪 春雨
校訂本文
戴封積薪 春雨
後漢の戴封、西華の令たりし時、天ひさしく日照りて、民ことごとく農耕のむなしく絶えぬる愁へをいだきけり。
戴封、「わが行ふ所の乱るるゆゑに、天のとがめ給ふなるべし。わが無からむには、雨も降り、民も豊かになりならむ」と言ひて、薪を積みて、その上に臥して、焼け死なむとす。
すでに火を放ちつ。時にのぞみて、天、これがために大きに雨を下しけり。
雨さそふ弥生の空は下もえの煙(けぶり)よりこそ曇りそめけれ
翻刻
戴封積薪 春雨 後漢戴封西花ノ令タリシ時天ヒサシク日テリテ民悉 農耕ノムナシク絶エヌル愁ヲイタキケリ戴封我カヲ コナフ所ノミタルルユヱニ天ノトカメ給フナルヘシ我カナカ ラムニハ雨モフリ民モユタカニナリナラムト云テ薪ヲ積テ其ノ 上ニフシテヤケシナムトスステニ火ヲ放チツ時ニノソミテ 天コレカタメニヲホキニ雨ヲクタシケリ アメサソフヤヨヒノソラハシタモエノケフリヨリコソクモリソメケレ/d1-10r
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka01-09.txt · 最終更新: 2017/10/10 18:49 by Satoshi Nakagawa