text:kohon:kohon059
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text:kohon:kohon059 [2014/06/07 19:43] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | text:kohon:kohon059 [2014/09/21 13:28] (現在) – [第59話 清水寺、御帳給はる女の事] Satoshi Nakagawa | ||
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====== 第59話 清水寺、御帳給はる女の事 ====== | ====== 第59話 清水寺、御帳給はる女の事 ====== | ||
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「これをばいかにすべき」なんど思ひて、引き広げて見て、「着るべき衣(きぬ)も無し。さは、これを衣にして着む」と思ふ心付きぬ。それを衣や袴にして着てける後、見と見る、男にまれ、女にまれ、あはれにいとほしき物に思はれて、すずろなる人の手より、物を多く得てけり。大事なる人の愁へをも、その衣を着て、知らぬやむごとなき所にも参りて申させければ、かならず成りけり。 | 「これをばいかにすべき」なんど思ひて、引き広げて見て、「着るべき衣(きぬ)も無し。さは、これを衣にして着む」と思ふ心付きぬ。それを衣や袴にして着てける後、見と見る、男にまれ、女にまれ、あはれにいとほしき物に思はれて、すずろなる人の手より、物を多く得てけり。大事なる人の愁へをも、その衣を着て、知らぬやむごとなき所にも参りて申させければ、かならず成りけり。 | ||
- | かやうにしつつ、人の手より物を得、良き男にも思はれて、楽しくてぞありける。されば、その衣をば収めて、「かならすせむ」と思ふ事の折にぞ、取り出でて着てける。かならずかなひけり。 | + | かやうにしつつ、人の手より物を得、良き男にも思はれて、楽しくてぞありける。されば、その衣をば収めて、「かならずせむ」と思ふ事の折にぞ、取り出でて着てける。かならずかなひけり。 |
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text/kohon/kohon059.txt · 最終更新: 2014/09/21 13:28 by Satoshi Nakagawa