text:kohon:kohon049
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text:kohon:kohon049 [2014/05/25 22:19] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:kohon:kohon049 [2014/09/17 00:03] (現在) – [第49話 清水の利生に依りて、谷底に落ち入る少児、生けしむ事] Satoshi Nakagawa | ||
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+ | 古本説話集 | ||
====== 第49話 清水の利生に依りて、谷底に落ち入る少児、生けしむ事 ====== | ====== 第49話 清水の利生に依りて、谷底に落ち入る少児、生けしむ事 ====== | ||
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===== 校訂本文 ===== | ===== 校訂本文 ===== | ||
- | | + | 今は昔、忠明(ただあきら)といふ検非違使ありけり。若男にてありけるとき、清水の橋殿にて京童と諍いをしける。 |
京童、手ごとに刀を抜きて、忠明をたて籠めて殺さんとしければ、忠明も刀を抜きて御堂ざまに出たるに、御堂の東(ひんがし)の妻に、あまた立ちて向かひければ、そちはえ逃げで、蔀(しとみ)のもとを脇に挟みて、前の谷に躍り落つ。蔀に風しぶかれて、谷の底に鳥のゐるやうに、やをら落ちゐければ、それより逃げて往にけり。 | 京童、手ごとに刀を抜きて、忠明をたて籠めて殺さんとしければ、忠明も刀を抜きて御堂ざまに出たるに、御堂の東(ひんがし)の妻に、あまた立ちて向かひければ、そちはえ逃げで、蔀(しとみ)のもとを脇に挟みて、前の谷に躍り落つ。蔀に風しぶかれて、谷の底に鳥のゐるやうに、やをら落ちゐければ、それより逃げて往にけり。 |
text/kohon/kohon049.txt · 最終更新: 2014/09/17 00:03 by Satoshi Nakagawa