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text:kohon:kohon019 [2016/01/21 11:49] – [校訂本文] Satoshi Nakagawatext:kohon:kohon019 [2022/08/10 23:20] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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   忘らるな忘れやしぬる春霞今朝立ちながら契りつること   忘らるな忘れやしぬる春霞今朝立ちながら契りつること
  
-この平中、さしも心に入らぬ女のもとにても、泣かれぬねを、そら泣きをし涙に濡らさむ料に硯瓶に水をいれて、緒をつけて、肘に懸けて、し歩きつ顔・袖を濡らしけり。+この平中、さしも心に入らぬ女のもとにても、泣かれぬ音()を、そら泣きをし涙に濡らさむ料に硯瓶に水をいれて、緒をつけて、肘に懸けて、し歩きつ顔・袖を濡らしけり。
  
 出居の方を、妻覗きて見れば、間木に物をさし置きけるを、出でて後取り下して見れば、硯瓶なり。また、畳紙に丁子入りたり。瓶の水をいうてて、墨を濃く磨りて入れつ。鼠の物を取り集めて丁子に入れ替えつ。さて、もとの様に置きつ。 出居の方を、妻覗きて見れば、間木に物をさし置きけるを、出でて後取り下して見れば、硯瓶なり。また、畳紙に丁子入りたり。瓶の水をいうてて、墨を濃く磨りて入れつ。鼠の物を取り集めて丁子に入れ替えつ。さて、もとの様に置きつ。
行 49: 行 49:
   てゐの方をめのそきてみれはまきにものを/b61 e30   てゐの方をめのそきてみれはまきにものを/b61 e30
  
-  さしきけるをいててのちとりをろして+  さしきけるをいててのちとりをろして
   みれはすすりかめ也またたたうかみにちやうし   みれはすすりかめ也またたたうかみにちやうし
   いりたりかめの水をいうててすみをこくすりて   いりたりかめの水をいうててすみをこくすりて
行 58: 行 58:
   けてみれは袖にすみゆゆしけにつきたり   けてみれは袖にすみゆゆしけにつきたり
   かかみをみれはかほもまくろにめのみきらめき   かかみをみれはかほもまくろにめのみきらめき
-  て我なからいとをそろしけなりすり/b62 e31+  て我なからいとをそろしけなりすり/b62 e31
  
   かめをみれはすみをすりていれたりたたう   かめをみれはすみをすりていれたりたたう
text/kohon/kohon019.1453344578.txt.gz · 最終更新: 2016/01/21 11:49 by Satoshi Nakagawa