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text:kohon:kohon009 [2014/09/15 21:40] – [第9話 伊勢大輔、歌の事] Satoshi Nakagawatext:kohon:kohon009 [2016/01/20 15:57] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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 ===== 校訂本文 ===== ===== 校訂本文 =====
  
-今は昔、紫式部、上東門院に歌読み優の者にて候(さぶら)ふに、大斎院より、春つ方、「つれづれに候ふに、さりぬべき物語や候ふ」と尋ね申させ給ひければ、御草子どもとり出ださせ給ひて、「いづれをか参らすべき」など、選り出ださせ給ふに、紫式部、「みな目慣れて候ふに、新しく作りて参らせさせ給ひつかし」と申しければ、「さらば、作れかし」と仰せられければ、源氏は作りて参らせたりけるとぞ。+今は昔、紫式部、上東門院((一条天皇中宮彰子))に歌読み優の者にて候ふに、大斎院((選子内親王))より、春つ方、「つれづれに候ふに、さりぬべき物語や候ふ」と尋ね申させ給ひければ、御草子どもとり出ださせ給ひて、「いづれをか参らすべき」など、選り出ださせ給ふに、紫式部、「みな目慣れて候ふに、新しく作りて参らせさせ給ひつかし」と申しければ、「さらば、作れかし」と仰せられければ、源氏は作りて参らせたりけるとぞ。
  
 いよいよ心ばせすぐれて、めでたきものにて候ふほどに、伊勢大輔参りぬ。それも歌詠みの筋なれば、殿、いみじうもてなされ給ふ。奈良より年に一度、八重桜を折りて持て参るを、紫式部、「今年は大輔に譲り候らはむ」とて、譲りければ、取り次ぎて参らするに、殿、「遅し、遅し」と仰せらるる御声につきて、 いよいよ心ばせすぐれて、めでたきものにて候ふほどに、伊勢大輔参りぬ。それも歌詠みの筋なれば、殿、いみじうもてなされ給ふ。奈良より年に一度、八重桜を折りて持て参るを、紫式部、「今年は大輔に譲り候らはむ」とて、譲りければ、取り次ぎて参らするに、殿、「遅し、遅し」と仰せらるる御声につきて、
text/kohon/kohon009.txt · 最終更新: 2021/10/07 21:17 by Satoshi Nakagawa