text:karakagami:m_karakagami3-01
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text:karakagami:m_karakagami3-01 [2023/01/10 01:50] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | text:karakagami:m_karakagami3-01 [2023/07/05 22:22] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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高祖、泗水(しすい)の亭の長となりて、竹皮(ちくひ)をもて冠(かぶり)にし給ひける。 | 高祖、泗水(しすい)の亭の長となりて、竹皮(ちくひ)をもて冠(かぶり)にし給ひける。 | ||
- | 高祖、夜更けて沢中(たくちう)を渡り給ふことありしに、ひとりの前行の者いはく、「前に大きなる蛇ありて、道にあたれり。願はくは帰りなん」と言ふ。高祖、酔(ゑ)ひて((底本「酔」に「ユイ」と読み仮名。))のたまはく、「壮士(さうし)((底本「コウシ」と読み仮名。))行く、何の恐しきことのあらむ」とて進みて、剣を抜きて、蛇を切き給ひつ。蛇、二つとなりて、径(みち)ひらけぬれば、行きつつ酔ひて、なほ寝給へり。 | + | 高祖、夜更けて沢中(たくちう)を渡り給ふことありしに、ひとりの前行の者いはく、「前に大きなる蛇ありて、道にあたれり。願はくは帰りなん」と言ふ。高祖、酔(ゑ)ひて((底本「酔」に「ユイ」と読み仮名。))のたまはく、「壮士(さうし)((底本「コウシ」と読み仮名。))行く、何の恐しきことのあらむ」とて進みて、剣を抜きて、蛇を切り給ひつ。蛇、二つとなりて、径(みち)ひらけぬれば、行きつつ酔ひて、なほ寝給へり。 |
御供にさがりたる人、蛇の所に至るに、一つの老いたる嫗(うば)ありて、夜哭(やこく)しけるを、「など、かくは泣くぞ」と問ひければ、「人、わが子を殺せり」と言ふ。「などその子をば((「をば」は底本「ば」なし。底本の異本注記により補う。))殺されたるぞ」と問ふに、嫗のいはく、「わが子は白帝の子なり。化して蛇となりて、道にありつるを((「道にありつるを」は底本「道をありつるを」。内閣文庫本により訂正。))赤帝の子のために切られぬ」とぞ申しける。このよしを高祖に申しければ、御心に頼もしくぞ思(おぼ)しける。 | 御供にさがりたる人、蛇の所に至るに、一つの老いたる嫗(うば)ありて、夜哭(やこく)しけるを、「など、かくは泣くぞ」と問ひければ、「人、わが子を殺せり」と言ふ。「などその子をば((「をば」は底本「ば」なし。底本の異本注記により補う。))殺されたるぞ」と問ふに、嫗のいはく、「わが子は白帝の子なり。化して蛇となりて、道にありつるを((「道にありつるを」は底本「道をありつるを」。内閣文庫本により訂正。))赤帝の子のために切られぬ」とぞ申しける。このよしを高祖に申しければ、御心に頼もしくぞ思(おぼ)しける。 |
text/karakagami/m_karakagami3-01.1673283059.txt.gz · 最終更新: 2023/01/10 01:50 by Satoshi Nakagawa