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text:kara:m_kara016 [2014/11/23 16:18] – 作成 Satoshi Nakagawatext:kara:m_kara016 [2014/11/29 00:19] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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 唐物語 唐物語
-====== 第16話 同じ御門誰とは申しながら限りなくこの世を惜しみ・・・(武帝・東方朔・西王母) ======+====== 第16話 同じ御門誰とは申しながら・・・(武帝・東方朔・西王母) ======
  
 ===== 校訂本文 ===== ===== 校訂本文 =====
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 昔、同じ御門((漢の武帝のこと。[[m_kara015|前話]]参照))、誰((清水浜臣本の「誰も」が正しいか))とは申しながら、限りなくこの世を惜しみ、命ながらへんことを願ひ給ひけり。幻(まぼろし)と聞こゆる仙人に仰せて、蓬莱不死の薬取りに遣はしつつ、はかなき御遊び・戯れにも、この世にながらへておはせんことをぞ、いとなみ給ひける。 昔、同じ御門((漢の武帝のこと。[[m_kara015|前話]]参照))、誰((清水浜臣本の「誰も」が正しいか))とは申しながら、限りなくこの世を惜しみ、命ながらへんことを願ひ給ひけり。幻(まぼろし)と聞こゆる仙人に仰せて、蓬莱不死の薬取りに遣はしつつ、はかなき御遊び・戯れにも、この世にながらへておはせんことをぞ、いとなみ給ひける。
  
-おほよそ人の好み願ふことは、必ずむなしからねば、この御時、東方朔といふ人、仙宮より罪犯して、暫く人間に下されたりけるを、御門、近く召し使ひて、よろづおぼつかなく思されけることをば、まづこの人にぞ問はせ給ひける。+おほよそ人の好み願ふことは、必ずむなしからねば、この御時、東方朔といふ人、仙宮より罪犯して、暫く人間に下されたりけるを、御門、近く召し使ひて、よろづおぼつかなく思されけることをば、まづこの人にぞ問はせ給ひける。
  
 かかるほどに、宮の内に、色黄なる雀の例の色にも似ずあやしきさましたる、飛び遊びけるを、御門、「日ごろかかる鳥見えず。いかなることにか」と問ひ給ふに、東方朔、申していはく、「君、長生不死の道を好み給ふにより、御心にめでて、『西王母と申す仙女、参りて遊び奉らん』と告げ知らする由(よし)の使ひなり」と聞こえさするに、御門((底本「帝」))、嬉しく思さるること限りなし。「いかなる有様にて、その人を待つべきぞ」とのたまはするに、「宮の内静かにて、庭の面(おも)を浄め、香を焚き、様々の床(ゆか)を設(まう)け給ふべし」と申しけり。 かかるほどに、宮の内に、色黄なる雀の例の色にも似ずあやしきさましたる、飛び遊びけるを、御門、「日ごろかかる鳥見えず。いかなることにか」と問ひ給ふに、東方朔、申していはく、「君、長生不死の道を好み給ふにより、御心にめでて、『西王母と申す仙女、参りて遊び奉らん』と告げ知らする由(よし)の使ひなり」と聞こえさするに、御門((底本「帝」))、嬉しく思さるること限りなし。「いかなる有様にて、その人を待つべきぞ」とのたまはするに、「宮の内静かにて、庭の面(おも)を浄め、香を焚き、様々の床(ゆか)を設(まう)け給ふべし」と申しけり。
text/kara/m_kara016.1416727091.txt.gz · 最終更新: 2014/11/23 16:18 by Satoshi Nakagawa