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text:k_konjaku:k_konjaku6-35 [2016/11/03 13:17] – 作成 Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku6-35 [2016/11/03 13:20] (現在) – [巻6第35話 孫宣徳書写花厳経語 第卅五] Satoshi Nakagawa
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 而る間、宣徳、獦(かり)の為に出ぬ。其の間、馬より落て、悶絶して死入ぬ。一日を経て、活(いきかへり)て、泣き悲むで、過を悔ふ。思邈((孫思邈。唐代の医者。))に語りて云く、 而る間、宣徳、獦(かり)の為に出ぬ。其の間、馬より落て、悶絶して死入ぬ。一日を経て、活(いきかへり)て、泣き悲むで、過を悔ふ。思邈((孫思邈。唐代の医者。))に語りて云く、
  
-「我れ、初めて死せし時に、一人の冥官来て、我れを駈て、一の大きなる城の前に将至る。見れば、五道大臣、列して、閻魔王、中に坐し給ふ。我れを責て宣はく、『汝ぢ、極て愚痴にして、悪を造るを以て業とす。然れば、汝に殺されたる所の禽獣等の訴に依て、非分に汝を召す也』と。即ち、庭を見れば、我が殺せりし所の生類、百千万有て、王に向て、各非分に命を奪はれたる由を申し合ひたり。王、此れを聞て、弥よ嗔り給ふ。+「我れ、初めて死せし時に、一人((底本頭注「一人一本三人ニ作ル」))の冥官来て、我れを駈て、一の大きなる城の前に将至る。見れば、五道大臣、列して、閻魔王、中に坐し給ふ。我れを責て宣はく、『汝ぢ、極て愚痴にして、悪を造るを以て業とす。然れば、汝に殺されたる所の禽獣等の訴に依て、非分に汝を召す也』と。即ち、庭を見れば、我が殺せりし所の生類、百千万有て、王に向て、各非分に命を奪はれたる由を申し合ひたり。王、此れを聞て、弥よ嗔り給ふ。
  
 其の時に、一人の童子有て、自ら名乗て『善哉((底本頭注「善哉ハ善財ノ誤カ」))』と称す。忽に王の所に至る。王、童子を見て畏りて、座より下て合掌して、童子に向ひ合ふ。童子の宣はく、『速に宣徳を放免すべし。彼れ、『華厳経を書き奉らむ』と願を発せり。未だ其の願を遂げず』と。王の宣はく、『宣徳、願を発せりと云へども、不信にして、其の願を廃し忘たり。豈に放ち免さむや』と。童子の宣はく、『宣徳、願を発しし時に、不信の心無かりき。豈に、後の悪を以て、前の善を捨てむや』と。王、此れを聞て、歓喜して宣はく、『実に此の事然るべし。速に宣徳を放ち還す』と。 其の時に、一人の童子有て、自ら名乗て『善哉((底本頭注「善哉ハ善財ノ誤カ」))』と称す。忽に王の所に至る。王、童子を見て畏りて、座より下て合掌して、童子に向ひ合ふ。童子の宣はく、『速に宣徳を放免すべし。彼れ、『華厳経を書き奉らむ』と願を発せり。未だ其の願を遂げず』と。王の宣はく、『宣徳、願を発せりと云へども、不信にして、其の願を廃し忘たり。豈に放ち免さむや』と。童子の宣はく、『宣徳、願を発しし時に、不信の心無かりき。豈に、後の悪を以て、前の善を捨てむや』と。王、此れを聞て、歓喜して宣はく、『実に此の事然るべし。速に宣徳を放ち還す』と。
text/k_konjaku/k_konjaku6-35.txt · 最終更新: 2016/11/03 13:20 by Satoshi Nakagawa