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text:k_konjaku:k_konjaku5-25 [2016/10/01 23:52] – 作成 Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku5-25 [2016/10/01 23:54] (現在) – [巻5第25話 亀為猿被謀語 第廿五] Satoshi Nakagawa
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 其の辺の海に二の亀有り。夫妻也。妻の亀、夫の亀に語て云く、「我れ、汝が子を懐妊せり。而るに、我れ、腹に病有て、定めて産み難からむ。汝ぢ、我に薬を食せば、我が身平かにて、汝が子を生じてむ」と。夫、答て云く、「何を以て薬とは為べきぞ」と。 其の辺の海に二の亀有り。夫妻也。妻の亀、夫の亀に語て云く、「我れ、汝が子を懐妊せり。而るに、我れ、腹に病有て、定めて産み難からむ。汝ぢ、我に薬を食せば、我が身平かにて、汝が子を生じてむ」と。夫、答て云く、「何を以て薬とは為べきぞ」と。
  
-妻の云く、「我れ聞けば、猿の肝なむ、腹の病の第一の薬なる」と云ふに、夫、海の岸に行て、彼の猿に値て云ふ様、「汝が栖(すみか)には、万の物豊也や否や」と。猿る、答て云く、「常には乏しき也」と。亀の云く、「我が栖の近辺にこそ、四季の菓蓏(くさのみ)絶えぬ広き林は有れ。哀れ、汝を其の所に将て行て、飽まで食せばや」と。+妻の云く、「我れ聞けば、猿の肝なむ、腹の病の第一の薬なる」と云ふに、夫、海の岸に行て、彼の猿に値て云ふ様、「汝が栖(すみか)には、万の物豊也や否や」と。猿る、答て云く、「常には乏しき也」と。亀の云く、「我が栖の近辺にこそ、四季の菓蓏(くさのみ)絶えぬ広き林は有れ。哀れ、汝を其の所に将て行て、飽まで食せばや」と。
  
 猿、謀るをば知らずして、喜て、「いで、我れ行かむ」と云へば、亀、「然らば、いざ給へ」と云て、亀の背に猿を将行て、亀の猿に云く、「汝ぢ知らずや、実には、我が妻懐妊せり。而るに、腹に病有るに依て、『猿の肝なむ其の薬なる』と聞て、汝が肝を取むが為に、謀て将来れる也」と。 猿、謀るをば知らずして、喜て、「いで、我れ行かむ」と云へば、亀、「然らば、いざ給へ」と云て、亀の背に猿を将行て、亀の猿に云く、「汝ぢ知らずや、実には、我が妻懐妊せり。而るに、腹に病有るに依て、『猿の肝なむ其の薬なる』と聞て、汝が肝を取むが為に、謀て将来れる也」と。
text/k_konjaku/k_konjaku5-25.txt · 最終更新: 2016/10/01 23:54 by Satoshi Nakagawa